内容説明
わが国の和歌形式の詩は、いつどの時点で形づくられたのか。その発生の起源から和歌形式の成立までを、初期の歌謡という連続した相において統一的に論じる。『古事記』『日本書紀』から『万葉集』をへて『古今集』にいたる書物に収められた歌謡を詳細克明に読み解き、さらには平安期に誕生した歌論書の理論をおしすすめ解剖分析することによって枕詞論・歌体論の新しい地平を伐り拓く画期的著作。
目次
1 歌の発生
2 歌謡の祖形
3 枕詞論
4 続枕詞論
5 歌体論
6 続歌体論
7 和歌成立論
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅん
12
ここでの「初期歌謡」とは『古事記』『日本書紀』から『万葉集』、そこから『古今集』へと至る誕生期の和歌のこと。「うた」がどのように発生したかを追う書物である。自然描写が、どうして/どうやって生まれたのか(心を表すために自然が必要なのか、自然を表しているうちに感情表現が重なったのか)など、現在の人間につながる問いを発しているところが吉本らしさか。〈あわれ〉や〈かなしみ〉に満ちた自然観というのは嵯峨上皇統治期に特有のもので、「日本的」でもなんでもないという指摘は面白い。2024/03/01
よしひろ
8
吉本隆明は理系的なアプローチで文学を解き明かしていく。精緻な仕事をする人だと思った。2016/04/23