内容説明
樋口一葉は『通俗書簡文』という手紙の書き方の実用書を書いた。病の床での執筆で、生前に刊行された唯一の本である。年始の文、歌留多会のあした遺失物をかえしやる文、猫の子をもらいにやる文、離縁を乞わんという人に、などなど掌編小説さながらのストーリーが展開する“手紙文例集”を森まゆみが味わい深く読み解く。手紙を楽しみたい人、必読の書。
目次
新年の部
春の部
夏の部
秋の部
冬の部
雑の部
唯いささか
著者等紹介
森まゆみ[モリマユミ]
東京都文京区動坂に生まれる。早稲田大学政経学部卒業。1984年地域雑誌「谷中・根津・千駄木」(愛称「谷根千」)を創刊。現在、「谷根千」の仕事を続けながら、環境保全の活動や幅広い執筆を精力的にこなし、『鴎外の坂』で1997年度芸術選奨文部大臣新人賞受賞
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感想・レビュー
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アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
35
樋口一葉が死の直前に依頼を受けて書いた『通俗書簡文』を森まゆみさんが解説。それぞれの例が新年と春夏秋冬の四季ごとに分かた手紙の文例が一葉によって書かれており「春雨ふる日友に」や「新茶を人におくる文」「雷鳴はげしかりし後友におくる」「冬のはじめ仕立物の手伝いをたのむ文」さらに雑の部では「猫の子をもらいにやる文」「事ありて仲絶えたる友のもとに」「人の家の盆栽を子のそこないつるに」など、どれも短編小説でも読んでいるかのように情景が目に浮かぶ。森まゆみさんの解説もわかりやすい。2015/09/12
いちはじめ
2
樋口一葉が『通俗書簡文』という手紙の書き方の実用書を書いていたこと自体、この本ではじめて知った。その内容紹介だが、森まゆみの目の付けどころがまた面白い。2004/05/23
skydog
1
一葉が亡くなった年、明治二十九年五月に博文館から刊行された「通俗書簡文」。 その中から約半分程度を抜き出して解説したものだ。 一葉が博文館から依頼され、わかりやすくいうと「手紙の書き方」の文例を指南したもののようだ。 しかし小説と違わず、何と流麗で美しく調子のある文章だろう。 現代では手紙を書くことなどだいぶ少なくなっているが、このように文章を編めたら手紙を書いてみたいものだと思う。 2015/09/30