内容説明
谷崎潤一郎とともに探偵小説のジャンルも開拓し、のちに文壇の重鎮的存在となった佐藤春夫の、幻想美溢れる作品世界。初期の代表作「西班牙犬の家」、探偵小説の先駆けとなり谷崎が絶賛した「指紋」、新しい方法意識で小説世界の幅を広げた未来都市小説「のんしゃらん記録」の他「女人焚死」「女誡扇奇譚」など、幻想・耽美的作品を収録。また評論として「探偵小説評論」「探偵小説と芸術味」も収録。
著者等紹介
佐藤春夫[サトウハルオ]
1892(明治25)年和歌山県新宮生まれ。中学を卒業して上京、生田長江に師事。与謝野鉄幹・晶子夫妻から耽美的ロマンティシズムの薫陶を受け、また森鴎外、永井荷風を師と仰ぐ中、抒情詩を書くことから出発。1917(大正6)年「西班牙犬の家」「病める薔薇」を発表。探偵小説においては「指紋」などで、谷崎潤一郎とともにそのジャンルも開拓した。1964(昭和39)年没
日下三蔵[クサカサンゾウ]
1968年神奈川県生まれ。出版社勤務を経て、ミステリ評論家・フリー編集者として活躍中
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かわうそ
14
探偵小説を装いつつ最後まで読んでみれば幻想・耽美系の作品が多かった。特に印象に残るのはカタカナ表記で読みにくいけど異様な迫力の「陳述」、シュールなディストピアSF「のんしゃらん記録」、異国情緒豊かな怪談「女誡扇奇譚」など。2014/10/11
ゆき
5
医学士一ノ瀬が罪を犯すまでの経緯を滔々と語る「陳述」、幻想的で救いのないディストピアを描いた「のんしゃらん記録」、廃屋に伝わる幽霊話から悲恋へとつながる「女誡扇綺譚」が特に印象深い。日常の謎を扱うミステリーやファンタジーなど他の作品も粒ぞろいで読み応えがあった。2019/01/17
たく
0
化物屋敷、陳述、指紋がお気に入り。 他も読まないと…2014/01/22
てっちゃん
0
思ったより読み易く、意外に面白かった。解説を読むと佐藤春夫にはこの3倍の探偵小説があるとの事なので是非読んでみたい。収録作の中では各種のアンソロジーに採録されている「オカアサン」「指紋」がやはり面白かった。2012/03/05