内容説明
巴里に雪のふるごとく川路利良、井上毅、成島柳北はフランスへ旅立った。パリを舞台に日本人女性の他殺死体の発見者ゴーギャン、容疑者ヴェルレーヌ、ルコック警部までも登場し事件は思わぬ方向へ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Sam
45
上巻同様何度も「それってホント?」と思わされる、虚実交えた着想の妙が光る中編3遍。「巴里に雪のふるごとく」では川路利良、井上毅、成島柳北に加えてゴーギャンやヴェルレーヌまで登場する。「築地西洋軒」では鴎外を追いかけて来日したエリスがメイン。この2作はしっかりミステリ要素も盛り込まれている。最後は「横浜オッペケペ」。川上音二郎と貞奴、野口英世に永井荷風と豪華。渡辺京二「幻影の明治」で「この一編ほど作者の類稀な構成力・話を仕組む才能が発揮された例はない」と激賞されている一編。明治ものも残り少なくなってきたな…2023/04/30
getsuki
11
上巻に続いて読了。「巴里に雪のふるごとく」ゴーギャンやヴェルレーヌも登場しての推理劇。川路がいいところ取りでカッコいい。「築地西洋軒」エリス嬢の聡明さが光る一方で男どもは……と(笑)ラストは皮肉に満ちている。「横浜オッペケペ」川上音二郎と野口英世は根っこが同じすぎて笑える。このくらいアクが強いからこそのあの偉業?なんだろうな。面白かった!2017/04/12
Yuji
11
やはり中編3つ。「巴里に雪の降る如く」が圧巻。川路大警視の示現流居合斬りが炸裂します!森鴎外を追いかけてきたエリス女史の名推理「築地西洋軒」も実に楽しい。2017/01/19
きょちょ
10
題名の「波濤歌」のような悲哀は、上巻に比べればこの巻では薄れる。3作あるが、「巴里に雪のふるごとく」「築地西洋軒」はやや推理物。でも「築地西洋軒」の、鴎外の恋人エリスの個性はなかなか。一番は、「横浜オッペケペ」。河上音二郎、野口英世、似た個性二人が登場。野口英世は小学生の時伝記を読んで、「とっても偉い人」としか思ってなかったが(笑)。ここまで自我が強いとは・・。稀代の詐欺師になってもおかしくないだろう。でも二人とも天才的素質がある。同作品に登場する永井荷風となると、別の一途さが可愛らしく感じる。★★★★2015/06/16
布由(ふゆ)
7
築地静養軒だけ。2019/06/12