内容説明
福井城下で福松と別れた兵馬は長浜に戻り、竜之助、お雪の名を記す卒塔婆に出会う。ついで胆吹では、廃墟と化した王国を前に立ちすくむ。王国を見限ったお銀様は、山科で財力をかける新たな計画を企てていた。一方、竜之助は新撰組の一派と過したのち、寂光院の尼僧のもとに寄宿。駒井らの船は椰子林のある無人島へ到り、新生活の建設にかかる。与八は、子供らの教育や荒地開拓に情熱を傾けていた…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きょちょ
20
学生時代から気になっていた作品で、読まなかったら棺桶入る時きっと後悔したでしょう。 一番面白いところは、当たり前だけど同時代にいろいろな人間が生き、交わり離れまた交わったりする、考え方も変化したり、人間的に成長したりもするし、まるで変わらないのもいる・・・。 現実においても交わった人すべてに対して最期まで追う事はできないのだから、未完でも良いのかも・・・。 机龍之助はやっぱり面白く不思議なキャラ、最低なのは駒井甚三郎、こやつはわがままで偽善者であった・・・。きっとお松まで不幸にするだろうなぁ。 ★★★★2016/09/13
ジュール
9
大菩薩峠全巻、やっと読了。昨年8月から9か月かかった。最後まで大団円を迎えることなく、それぞれの核となる登場人物が、それぞれの場所で活躍。駒井は南の島で独立王国を建設中。竜之介は若い年おいた尼さんと道行き。神尾主善は京都に行く前に江戸見物。道庵は一休さんの後をたどる。米友と源信、お銀様はどこに? それにしても筆者の博覧強記には感心。いつ終わるともなく、大きなヤマもなく、よくも続いたもの。それにしても最後が柳田平治の「ちぇッ、キリシタン!」であっけなく終わる。本当にこれで終わりかとネットで調べてしまった。2020/04/27
ソングライン
8
駒井率いる無名丸の一行は南方の無人島に上陸し開墾を始めこの地で駒井とお松は結ばれます。竜之助は斎藤一と別れた後京都の寂光院の尼僧の元に身を寄せます。胆吹山の王国づくりを断念したお銀様は山科に居を移し美術品の収集を始め、この地を兵馬が訪れるところで物語は終わります。竜之助と兵馬の対決は一度も実現しませんでしたが多様な登場人物の生き様に思いを馳せながらの読了です。2024/03/23
Auristela
2
感無量。いよいよ現代との架け橋が見えてきて、落ちるか、いや更に飛翔するのか、というところで終わって、割とキリが良かったと思うな。最後なんか何故かカフカのアメリカあたりを思い出したよ。2015/06/03
Stevie G
2
この独特の世界から抜け出したくなくて、できるだけ日時を掛けてゆっくり読んできたのに、とうとう終わってしまいました。続きが読めなくて寂しい限りです。お松は駒井の殿様を捕まえたから良いようなものの、お雪ちゃんは可哀想。根性無しの兵馬は福松のところへ戻るでしょう。竜之介もとうとう目が治らないとは予想もしませんでしたが、お浜とお豊を死なせ、お雪ちゃんもお銀様も振った挙句に寂光院の尼法師はないでしょう。風呂敷を広げるだけ広げた幕末どたばた活劇でした。楽しかったです。2014/01/07
-
- 電子書籍
- キーワードで知る経済リスク 週刊エコノ…