内容説明
先学の業績まえつつ、最近の梅原猛「水刑死」説や「人麻呂暗号」説に呼応する形で、それらの短絡や難点を排し、人麻呂の異常死(自殺)を証明する。また、歌聖像とは無縁の民衆の人麻呂伝承・信仰にわけ入り、ウタのもつ「呪言」の意味を明らかにする。大胆な発想と緻密な読みが重層的に織りなす書き下し450枚。
目次
第1章 「宮廷歌人」人麻呂の悲劇―弓削皇子の死と人麻呂
第2章 人麻呂の外来思想―人麻呂に「暗号」はない
第3章 「東の野にかぎろひの…」歌をめぐって―阿騎野の歌と大嘗祭
第4章 稗田阿礼は柿本人麻呂か―柿本氏・ワニ氏・猿女と原古事記
第5章 柿本人麻呂の死―人麻呂はどこで自殺したか
第6章 伝承は人麻呂の自殺を伝えている―異常死が人麻呂伝承を生んだ
第7章 歌の呪力と人麻呂信仰―なぜ、人麻呂は御霊神になったか
第8章 人麻呂伝承を伝えた人たち―漂泊する非農耕民と海人・山人