内容説明
金融大再編の嵐のなか、協立銀行は他行との合併によるJFG銀行設立へと向かっていた。広報部長である竹中治夫は、その渦中で頭取の逆鱗に触れ、大阪中之島支店長へと左遷されてしまう。さらには、合併の陰で権力に固執し続ける老害顧問、家庭崩壊の危機を招く妻の不倫問題が、竹中を追いつめていく。そして、大阪に赴任した彼を待っていたのは、想像を絶する不良債権との戦いだった―。
著者等紹介
高杉良[タカスギリョウ]
作家。1939年東京生まれ。化学業界専門紙の記者、編集長を経て、1975年『虚構の城』でデビュー。以後、綿密な取材に裏打ちされたリアリティに富む経済小説を次々に発表。企業組織の不条理と戦うミドルの姿を描いたこれらの作品は、日本中のビジネスマンより絶大な支持を得ている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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W-G
251
『混沌』終了直後からスタートし、頭取との感情の行き違いから左遷、やけになって鈴木顧問とやり合い、そこから竹中夫人の知恵子の不倫問題が再浮上し、離婚話が急進展。下世話だけどサラリーマンの悲哀が満載で、上々の滑り出し。五十近い年齢で濡れ場担当として頑張る知恵子。竹中/清水ペアとの落差を鑑みても、著者の描き方には悪意しか感じられない。中之島支店に舞台を移しての、スズキ工務店の案件からは、久しぶりに地に足ついた企業小説っぽさが堪能出来る。反面、旧東亜との行内融和問題などは、少し描写不足ではないだろうか。2020/11/06
よしたけ
22
前作までは、旧都市銀行の一角、協立銀行が合併して第4のメガバンクJFG銀行が誕生する直前まで。本作では合併直前に大量の不良債権が明らかとなり、合併行の初代頭取が確実視されていた阿川頭取が辞任。一方、阿川との仲が急速に悪化していた主人公、執行役員広報部長竹中は、地方へ左遷されるも辛うじて合併行で執行役員留任。サイドストーリーとして竹中の離婚、元若手行員との不倫話は継続。権力に固執し続ける元頭取鈴木最高顧問も登場。物語後半は地方支店での不良債権処理が中心で、実務に忠実な描写。主人公の出世街道の行く末にも注目。2020/10/13
しーふぉ
6
ついに完結編へ。やはりどうしても主人公に感情移入出来ない。2013/10/02
Keita Yamazaki
3
やっと最終章。長かった…最終章だけでも後3冊あるけど。 貸し剥がし時代の銀行同士のやり取り。 すげーハラハラして息するのも忘れるくらいだった。 こんな時代に銀行員だったら自分はどう振る舞うのか想像しながら読んだ。主人公執行役員で立場違いすぎるが。 あと、やっぱり清水麻紀との不倫のくだりは要らないと思う。2015/03/17
秋
3
東日本大震災の被災地の金融会社並びに地元企業の現状と重なる場面がいくつかあり世間に対する理解の幅が広がります。2012/04/28