内容説明
陰陽五行の原理と応用という視点から蛇と狐の忘れられた呪性をみごとに解き明かす。
目次
蛇(蛇の生態と古代日本人;蛇の古語「カカ」;神鏡考;鏡餅考;蛇を着る思想;蛇巫の存在;日本の古代哲学)
狐(狐の生態;日本の狐;中国の狐;陰陽五行思想と狐;稲荷と狐;蛇から狐へ―私見稲荷信仰;狐と火・その一;狐と火・その二)
著者等紹介
吉野裕子[ヨシノヒロコ]
1916年東京に生まれる。1934年女子学習院、1954年津田塾大学、各卒。1975~87年学習院女子短期大学非常勤講師。1977年3月『陰陽五行思想からみた日本の祭』によって東京教育大学から文学博士の学位を授与される。現在、山岳修験学会、日本生活文化史学会、各理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
大臣ぐサン
1
吉野裕子の代名詞ともいえる名著『蛇』と同じく日本文化の中で大きな影響力を持つ動物『狐』を所収。『蛇』は縄文の世から日本人の思想に大きな影響を及ぼしている動物であり、古くは崇敬され、時代が下るにつけ忌避されるようになる。これほど二面性のある動物はなかなか見当たらない。狐は蛇と比べると日本人との関係は新しく、中世以降になってからの付き合いではないか。この狐もやはり二面性があり、狐の子別れの話は特に興味深い。蛇も狐もどちらの思想にも陰陽五行によって説明されるところも前著との関連があって面白い。2022/03/22
ハイパー毛玉クリエイター⊿
0
信仰対象としての蛇を語る下準備として、ヘビの生態についても解説。そして唐突に表れる、メキシコ マヤ文明の遺跡チチェン・イッツァのピラミッドの話題。これには少々面食らう。いくらチチェン・イッツァも“蛇信仰”であったとはいえ、日本の蛇信仰を解き明かすうえでは不必要なデータ群だったのでは。論旨からズレてしまっているように感じられた。(ただし個人的にマヤ文明は超がつくほど大好物なので、ありがたく拝読) 狐信仰にも話は及ぶ。稲荷神社と狐の関係性について陰陽五行の観点から迫るあたりは必読。様々な謎解きがとても楽しい。2014/03/27
wasuregai
0
音の転訛による関連性の部分は若干こじつけ?という気もするけれど、直感的な発想の関連性の部分は面白い。どちらかというと「蛇」の方が面白かったかな。あと、「狐」では原始信仰の「蛇」から中国由来の「狐」の信仰に代わっていく稲荷信仰についての記述が面白かった。2010/11/22