内容説明
本書においては、第一章でヴァイマル共和国における政治的・教会的状況をとりあげ、とくに初期ナチ党の宗教政策、これに同調した“ドイツ的キリスト者”の思想と行動とをあきらかにしている。第二章では、教会闘争の過程を概観したのち、この闘争における頂点ともいうべきバルメン宣言に即して、告白教会の政治倫理の可能性を神学的・政治学的に分析。第三章では、ローゼンベルクの『二十世紀の神話』との論争の中で、教会によるナチ・イデオロギーとの直接的対決のもちえた政治的射程を、第四章では、ナチ占領下のノルウェーとデンマークの事例研究を通して、ルター主義的伝統に立ちながら、なお政治的抵抗が可能となった神学的・社会的背景を、第五章では、敗戦後直ちに公にされた有名なシュトゥットガルト罪責告白をめぐる論争を通して、教会闘争の政治的・神学的遺産を明らかにした。
目次
第1章 ドイツ教会闘争への道
第2章 ドイツ教会闘争の政治倫理―バルメン宣言の論理と倫理
第3章 政治神話と教会闘争―ローゼンベルク『20世紀の神話』論争
第4章 北欧の反ナチ教会闘争―ノルウェーとデンマーク
第5章 教会闘争と罪責告白―シュトゥットガルト罪責宣言論争