内容説明
双子の姉の恋人だった冬樹と激しい恋に落ち、駆け落ち同然で渡米した桜。十数年後、二人は離婚、桜は愛娘の美亜子とアメリカの田舎町に暮らしている。来るべき別れの予感を胸に秘めて、娘が乗った長距離バスをいつまでも見送っていた。「永遠の愛」を探し求めた日々。それは涙と笑い、光と陰に彩られた人生という長い道のりだった。
著者等紹介
小手鞠るい[コデマリルイ]
岡山県生まれ。同志社大学法学部卒業。81年サンリオ「詩とメルヘン」賞、93年「おとぎ話」で海燕新人文学賞、2005年『欲しいのは、あなただけ』で島清恋愛文学賞、09年絵本『ルウとリンデン 旅とおるすばん』(絵/北見葉胡)でボローニャ国際児童図書賞を受賞。ニューヨーク州在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
321
6つの作品から成る連作短篇集。それぞれは、主要な登場人物の一人称語り(美亜子だけは2度)でなされる。時間的には、美亜子の14歳から30数歳までの20年間ということになるが、様々な回想を挟んで物語は5人の輻輳的な拡がりを持っている。すなわち、これは美亜子の前半生の物語なのだが、同時に桜の、楓の、冬樹の、そしてカリンの物語である。全体の語りは軽いタッチなのだが、それでも私たち読者はいつしか美亜子とともに、この人生を生きることになる。そして、物語が終わった時、私たちは哀惜の情を持つにいたるのである。2023/02/23
優希
48
心にズンときました。各章で主人公が変わりながら物語は進みます。だからか家族愛を感じることができたと思います。2020/08/01
星落秋風五丈原
41
双子の姉・楓が付き合っていた冬樹と駆け落ち結婚した桜。桜と冬樹の愛娘・美亜子。冬樹の現在のパートナー、カリン。楓。冬樹。章毎に語り手を変えながら展開してゆく5人の人生。語り手を変えており、それぞれしか知らない感情や事情があるため、読者は多面的に物語世界を眺められる。美亜子が二度語り手に扮しており、彼女の成長物語としても読める。ロングは「Long」と「Wrong」を掛けており、恋愛と情熱という、自分ではどうにもならない感情に人々が翻弄されてゆくさまが描かれる。2009/12/15
ぶうたん
8
著者の本は初めてで、なんで買ったのかもよく覚えていない。およそ平凡とは言えない人生を歩むある家族を描いたもの。結構エグいシチュエーションもあるのだが、あまり深く葛藤は書かれないので割とあっさりとした印象ではある。まあ、続編で書かれているのかもしれないけど。2020/02/23
ゆっ
7
自分に正直に生きてる人、それを抑えてる人、いろんな人がいるからドラマは生まれるんでしょうね。『人生もまた、流れてゆくもの。流れてゆくものは、強い』日々、流されちゃってる私、この言葉の意味とはほど遠い。2014/04/16