内容説明
勘定奉行小栗忠順は幕閣にあって孤立していた。幕命を受け、幕府の公金で浪士組を募った志士清河八郎が、倒幕擾夷に寝返ったのである。しかも幕臣である山岡鉄舟、高橋泥舟もそれに加担している。幕臣でもない近藤、土方でさえ清河の奸策を見抜き、決裂して新撰組を作ったというのに…。恩師小栗の苦悩を見て、風戸俊策は、清河を斬ろう、と決意した。風雲急を告げる文久3年桜の季節、孤剣をもって、尊皇攘夷の謀略に挑む青年剣士の姿を熱く描く好評の『新幕末風雲録』第2弾。
感想・レビュー
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ニミッツクラス
1
89年の2刷を読んだ。主人公風戸俊策の幕末から明治初期にかけての一連のシリーズの幕末期の2作目となる。副題にある通り、清河八郎の暗殺に至る経緯が活写されている。浪人と浪士、志士と志士もどきの違いを判り易く述べている。幕府の肝煎りで発足した浪士組(=新徴組)は小栗上野介の意図に反して倒幕・尊皇攘夷に走る。小栗は幕臣の佐々木只三郎に命じて清河を暗殺、浪士組の動きを封じる。掌中の風戸に斬らせると史実と齟齬をきたすから、うまいこと配 置している。清河に加担した幕臣鉄舟、泥舟の失脚はまだ先の話である。★★★★☆☆2013/04/26