出版社内容情報
人間がふたりいれば、からだは二つ、心も二つ、それなのに、どうしてまわりの誰も、そのことに気がついてくれないの? ぼくはぼくなのに。 ―ふたごのひとりハンネスのなやみ、苦しみ、自立へのあゆみを描く。
小学上級
内容説明
眠れない夜があけて、きょうはヨーを埋葬する日。地の上と土の中と、ふたりは決定的に切りはなされる。双子のきょうだいとして、いつでもヨーといっしょだったハンネスは、まるで半身をもぎとられる気がする。確かにヨーの影でいたくはなかった。ヨーから離れて、自分自身の足で立ちたいと思いもした。しかしその願いが、こんな形でかなえられようとは思ってもいなかった。永遠のわかれのこの日、ハンネスは歯を食いしばって、あふれる涙をこらえる。泣けばまた、ヨーに笑われる―。