出版社内容情報
「紀伊玉浦の特産品を活かして 銘めいか菓をつくってくれ」それが、はつねやの音松に課せられた使命だった。藩主から下った最初の材は干し柿。試行錯誤を重ね、これで氷室の柿が尽きるという最後の一つを使った柿羊羹の出来栄えやいかに。そして半年の紀州滞在中、音松はいくつの菓子を仕上げるのか。さらに藩名にちなんだ「玉の浦」は銘菓と相成るのか。
内容説明
「紀伊玉浦の特産品を活かして銘果をつくってくれ」それが、はつねやの音松に課せられた使命だった。藩主から下った最初の材は干し柿。試行錯誤を重ね、これで氷室の柿が尽きるという最後の一つを使った柿羊羹の出来栄えやいかに。そして半年の紀州滞在中、音松はいくつの菓子を仕上げるのか。さらに藩名にちなんだ「玉の浦」は銘菓と相成るのか。
著者等紹介
倉阪鬼一郎[クラサカキイチロウ]
1960年三重県生まれ。早稲田大学大学院中退。草創期の幻想文学会に参加。87年『地底の鰐、天上の蛇』でデビュー。97年『百鬼譚の夜』で再デビュー。ホラー、ミステリ作品がある。近年は時代小説に進出、「小料理のどか屋 人情帖」「若さま」シリーズなどの著書がある。2021年、本シリーズ他で日本歴史時代作家協会賞「シリーズ賞」を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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むつこ
28
シリーズ4作目。「腕くらべ」から登場していた紀州玉浦藩の松平伊豆守崇高と共に「銘菓」を創作するため半年間滞在する主人公・音松。徒歩での道中で知る地元の銘菓たち、紀州の梅、柿、しらすなどを使う菓子の工夫。たしかにおいしいものの味ってちょっと物足りないぐらいがいい塩梅なのよね。2022/10/14
エディン
7
紀州の藩主と共に、新しい名物を考案すべく紀州に半年滞在する音松。柿、梅、みかんなど、紀州には美味しい食材を使って、次々新しいお菓子に挑戦する音松。玉の浦ってどんなお菓子?と思っていたら、表紙絵のおはつが持っていました。2023/02/02
ミド
5
現代にも残っている料理や菓子が出てくるのでイメージがしやすかった。甘すぎるのはよくないというのもわかる。でも藩主様とか猫とかここで一句とか、のどか屋とキャラや設定がほぼ丸被り。そのうち皿は下から出せとかいうようになるかな。谷中仲間の伊勢屋は自業自得とはいえ、主人公側が上から目線で見下している感じはなんか嫌だなあ。2023/03/21
いのこ
3
すごくよかった。タイトルの通り光と風が溢れる紀州が舞台で、海や山や空の情景が浮かぶ描写が多くて、読んでいて楽しい。そして数々の銘菓ができていく様も面白く、どの菓子も美味しそうで、美しい。 藩主様の指摘が明確だったり、導くような言葉がけが素敵。理想の上司って感じ。 最後にはまた時の流れを感じされる描写があっていい。2022/11/24