内容説明
地方都市・北嶺での誘拐事件は、県警捜査一課の敏腕刑事・上條のミスにより被害者が殺害され、捜査が行き詰まっていた。自らの誇りを取り戻すため捜査に邁進する彼の前に現れた少年。その出会いが彼が封印してきた過去を解き始めた時、事件は意外な姿を見せる…。己の存在意義、組織と個人、親と子。様様に揺れる心情を丹念に描く傑作警察小説。
著者等紹介
堂場瞬一[ドウバシュンイチ]
1963年茨城県生まれ。新聞社勤務のかたわら小説を執筆し、2000年「8年」で第13回小説すばる新人賞を受賞。その後、意欲的に作品を発表し続け、警察小説の旗手として注目を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nakanaka
80
なかなかのバイオレンス小説だと感じました。イカれた犯人たちではありますが今の時代には実際に存在しそうなだけに恐怖を覚えます。主人公の上條は魅力的なキャラでしたが組織人としては不適合者ですね。同僚や部下だったらかなり嫌なタイプかもしれません。しかしながら上條の言動が必ずしも間違っているとはいえず、警察のことなかれ主義への作者からの不満と皮肉と受け取りました。ヤクザの旧友・小野里が存在感抜群でいい味だしてたなぁ。ラストの亡き父と亡き妻の登場のシーンでは涙が出そうになりました。2016/09/29
ユザキ部長
49
なかなかヘビーに長く重い話しだった。なにをそこまで意地になるのかと思いきや、ある意味凶器じみてないと捕まえられないし、突き放せない。犯人が狂ってるからなおさらだ。2022/09/13
さっとん
47
堂場さんの刑事物は初めて読みました。 600ページ近い長編で終始重苦しい雰囲気なのは若干しんどかったですが、後半はスピード感がありハラハラドキドキの展開は面白かったです。 堂場さんの他の刑事物も読んでみたいです。2018/04/28
鈴
41
【刑事・探偵週間@月イチ】③堂場さん三冊目。最近、堂場さんハマり中。やぁーこれもなかなか面白かった。一匹狼の上條刑事。誘拐事件が自分のミスで、遺体発見という最悪の結果になり、犯人逮捕のために身勝手に動き回る(笑)そんな上條に、もっと周りに頼ろうよ~と言いたい場面がちらほら。とくにラストは無謀過ぎでしょ(笑)正春とのその後は明るいものであってほしいな。2016/09/25
スノーマン
36
記憶喪失の少年アキラの正体が、もしかして?という予想そのまんまであっけにとられてしまった。何かもう一捻りほしかったな〜。ここに出てくる少年たちの暴走は行き当たりばったりで悲しくなる。でもこんな人間も実際いるんだろうな。孤独な刑事上條の正義感は頑なで、ラストも仕方ないこととは言え、親としていつか息子にその正義を、言葉で気持ちで伝える努力をしてほしい。あと、友人をもう少し信用すれば良いのに…小野里かわいそう(笑)2016/01/13