内容説明
五年前、東シナ海島嶼上陸訓練で姉を亡くした沖縄新聞記者の山本秋奈は、姉の死の真相を明らかにするため周辺取材を続け、とうとう「冊封使録」の存在に辿り着く。その中の一冊「羅漢」が、姉の死に関わっているというのだ。尖閣の領有権を主張する根拠として中国がたびたび言及するこの古文書には、一体どんな意味があるのか?折しも沖縄では米兵による女子高生強姦殺害事件と、その後の県警の不適切な対応が世論を激化させ、さらに白昼オスプレイが墜落。現場に急行した秋奈が目にしたのは…。米国の思惑と背後に見え隠れする中国。その時、日本政府は??圧倒的リアリティと情報量の大型エンタメ小説。
著者等紹介
青木俊[アオキシュン]
1958年生まれ。横浜市出身。上智大学卒業後、82年テレビ東京入社。報道局、香港支局長、北京支局長などを経て、2013年独立。『尖閣ゲーム』(幻冬舎)が初めての著書となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
116
帯に煽られた1冊。真実と想像力の渦の中に飲み込まれて読了。姉の死、古文書『羅漢』の存在を横糸に、沖縄の抱える現状と取り巻く日・中・米の思惑を縦糸にして、フィクションだよねと確認しながら読んだ。どちらも中途半端な感じもしないでは無かったが、全く有りえなくはないかもと(汗)沖縄の思いって、どこぞの国の侵略占領なんて恐ろしすぎる。だが、今の琉球は?何が正しいのかヤマトに生まれ住む私は答は持たないが『尖閣』はきな臭く、ゲームと言うにはあまりにリアルだ。歴史は怖く時間は長く道は厳しい。面白く読了とは至らなかった・・2016/08/08
ゆみねこ
72
ゲームなどという軽いタイトルではなかったです。ガッツリと琉球の歴史、尖閣の問題、米軍基地や中国とのきな臭い話を盛り込み、ここに書かれているような事態になったら、私たちはどう対処したら良いのでしょうか?2017/08/22
ナミのママ
65
ここ数日、尖閣諸島では領海走行の中国船に海保が警告を発しています。尖閣問題は現在もずっと続いている問題。その尖閣問題をテーマに、沖縄の独立、県と国の対立など、かなりきな臭い内容でした。あちこち賛否両論の感想を読み、確かにと思いますが、内容は面白く、エンタメとわかりつつ、のめり込みました。私には面白かったですが、タイトルの「ゲーム」にちょっと抵抗を感じますが。作者はこれが処女作、かつ受賞作でもない様子。香港・北京などを経験したテレビ局出身とのこと、次作もこのような壮大なテーマを持ってくるのか、気になります。2016/05/20
ちょろこ
63
冗談じゃないわ、の一冊。尖閣諸島の領有権の決定打が記されている、宝の書物にも悪魔の書物にもなり得る「羅漢」。この書物を巡って繰り広げられるストーリー。いくらフィクションとはいえ、これが近未来におこったとしたら…冗談じゃないわ。国同士にとってはゲーム感覚?…冗談じゃないわ。いつでも犠牲になるのは非力な国民だ。そして壮大な浪漫、魅力を感じた「羅漢」の真の目的がまさかあれだったとは…冗談じゃないわ。今回も読み手を憤らせながらも物語にひきこむ作品。次作はどんな手で憤らせてくれるのか楽しみだ!2017/11/12
kmfm
35
国際謀略サスペンスものが好きなので読んでみた。沖縄の歴史的背景、中国との領土問題、米軍基地の移転問題などを絡めて、報道記者と警察官僚を軸に物語がハデに展開する。あくまでもフィクションであることは承知だが、スペクタクルだ、爽快だという気持ちでは読めない。もし自分が沖縄県民ならとても不愉快な気持ちにしかならないのではないか。沖縄の方たちの気持ちを踏みにじる内容だと思う。また南京事件の記述があったが、本作のような大量虐殺の根拠となる史料はない。結局資源を巡る"ゲーム"に終始した浅い内容がとても残念だった。2016/04/12