内容説明
駅前の寂れた通りの地下にある「スナックひばり」。そのママは身長2メートルを超えるマッチョなオカマ・通称ゴンママ。彼(彼女?)の周りに集まるのは、一癖も二癖もある「変わり者」ばかり。エロジジイ社長、金髪モヒカンの歯科医師、シャイで生意気な男子高生、謎のセクシー美女、うだつの上がらない中年サラリーマン…。いつもは愉快な彼らも、それぞれ人知れず心に傷を抱えていて―。心の垢を洗い流す感涙小説。
著者等紹介
森沢明夫[モリサワアキオ]
1969年、千葉県生まれ。早稲田大学人間科学部卒業。ノンフィクション作品『ラストサムライ 片目のチャンピオン武田幸三』で、第17回ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
524
タイトルが魅力的。「トレーニングマガジン」に連載された原稿を大幅に加筆し、面白い連作短編集になっていた。筋肉を鍛えながら、”人間力も増し増し”の登場人物たちに好感が持てた。「いちばん苦しいときに笑うって、じつは人生の極意なのよ」など、さりげないセンテンスでグッと心を鷲づかみに! 森沢作品は『津軽百年食堂』や『あなたへ』(刑務所の指導教官役の高倉健が主演で、彼の遺作となった映画の原作)など、温かな人間ドラマが多く、読んでいて心 癒される。2021/11/07
優愛
410
「言葉ってのはね、大事なことほど小声でささやくものなの」スポーツジムに通う個性豊かな人達の憩いの場所はゴンママの経営するスナックひばり。仕事や家族関係、恋愛について全ての悩みを受け止めてくれる。置いていけ、吐き出していけと言ってくれる嘘のない温かな場所がここには確かに存在していた。信じる程に、思いを込める程に伝えたい言葉は小さくなる。その人の中に嘘のない私の声が響くようにと願いながら。貪欲にいこう。必要なことはここに全て揃っているもの。大切な人達がいるだけで十分だもの。読友さんにお勧めしたくなりました。2015/02/22
ハイランド
384
悩める人々が癒しを求める場所は、スポーツクラブのフリーウエイトコーナーと、そこの主で2メートルを超えるマッチョなオカマのゴンママと美少女バーテンダーのカオリが営むスナックひばり。設定は十分魅力的だし、文章も読みやすいし、ストーリーの破たんもないし、そこそこ面白かった。だが、一話15分で解決する人生の悩みってお手軽すぎないか。アニメだって一話完結でも25分だし1クールなら6時間だぞ。と、どうもこういう本を読む精神状態ではなかったなかったらしい。週末はスポーツクラブでも行って身体を動かした方が良さそうですね。2016/03/26
@com
318
とても面白かった。個性的なキャラクター達も良い、特にカオリちゃん。「人生に大切なのは・・・」や「喜びの本質」「悲しい時は・・・」「阿吽」「夢を持ちなさい・必ず叶えなさい」など素敵な言葉もちりばめられていて凄くよかった。ゴンママ、続きが読みたいです。悲しみを知る人は乗り越えると強くなれるのですね。2014/03/22
*すずらん*
275
どんな人にだって悩みがある。それを隠した上での笑顔に対して、大きな声で大それた事を意見したって響く筈がない。小声でそっと囁く様な、小さな小さな助言がその人を動かす。いつも皆を笑わせて勇気付けるゴンママが、マイノリティーであることに胸が痛みました。だってきっと誰よりも大きな傷や不安がある筈。誰よりも誰かに助けてほしい筈。でもだからこそ、皆が見過ごしてしまう小さな事柄に気付けるのかもしれない。それが一番大事な事なんだって伝えられるのかもしれない。最後の阿吽のお話で、きっと ゴンママも私も救われたんだと思います2013/06/05