後悔と真実の色

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  • サイズ B6判/ページ数 509p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784344017382
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

緻密な構成で不器用に生きる男たちを活写する傑作長編。

若い女性を襲い、死体から人指し指を切り取る連続殺人鬼“指蒐集家”が社会を震撼させる中、捜査一課のエース・西條輝司は窮地に立たされていた…。

内容説明

あの強固な呪縛から、いつか解き放たれたかった。若い女性を襲い、死体から人指し指を切り取る連続殺人魔「指蒐集家」が社会を震撼させている。警察は、ネットでの殺人予告、殺害の実況中継など犯人の不気味なパフォーマンスに翻弄され、足がかりさえ見えない。その状況下、捜査一課のエース、西條輝司はある出来事を機に窮地に立たされていた―。これは罠なのか?被害者たちにつながりはあるのか?犯人の狙いは何か?緻密な構成で不器用に生きる男たちを活写する傑作長編。

著者等紹介

貫井徳郎[ヌクイトクロウ]
1968年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業。93年、第4回鮎川哲也賞最終候補作となった「慟哭」が、予選委員であった北村薫氏の激賞を受けデビュー。2006年、「愚行録」で第135回直木賞候補、09年、「乱反射」で第141回直木賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

266
貫井徳郎は、新作中心に読んでいる作家です。新作の『宿命と真実の炎』の前に旧作で未読の本作を手に取りました。最初、連続殺人の刑事物だと思って読み始めましたが、思わぬ展開でワクワクしながら、500P強一気読みしました。山本周五郎賞受賞作らしく、人物も丹念に書き込まれており、単なる刑事物とは異なります。本作は、貫井徳郎のMyBestかも知れません。続いて『宿命と真実の炎』へ。2017/06/07

utinopoti27

132
都内で若い女性が次々殺害され、人差し指が切り取られる事件が発生する。ネットを巧みに利用し、犯行予告で捜査陣を振り回す「指蒐集家」とは何者か。本作では、猟奇事件の謎を追いつつも、主人公・西條ほか、捜査にあたる刑事たちの内面を深く抉り込んでいきます。事件解決という目的を共有しながら、手柄を巡って牽制し合う男たち。不器用な生き方しかできない彼らにあって、西條にいたっては不倫を暴かれ、家庭崩壊の挙句、職を追われホームレスに。自己顕示欲の強さゆえ墓穴を掘る犯人とともに、人の卑しさ愚かさを徹底して描ききった意欲作。2019/05/21

まこみん

120
新作を図書館で予約中で、その前に表紙色違いのこちらがある事に気付いて先に読む。警視庁捜査一課九係の西條は仕事は名探偵と言われる程出来るが、人間関係には無頓着、夫婦間は冷えきり、逃避し不倫中の彼女がいる。同僚や捜査仲間も癖のある聖人君子とは言えない面々。指を切断された連続女性殺人事件を追う中で、西條の不祥事が発覚し辞職。全てを失った転落の生活は衝撃的。彼女をも殺された西條の渾身の推理は…犯人の予想はしたけれど辻褄がああだったとは。誰にも共感出来ないと感じながら読み進んだが、最後には西條を応援していた。2017/09/18

takaC

95
推理小説と警察小説の二兎を追い、どっちつかずになってしまった感じ。(読者には)すぐわかる犯人も、賢いのか間抜けなのかよくわからない。2010/10/06

ちはや@灯れ松明の火

90
脳裏に、心に、染みついて拭い去れない色がある。この手がまだ、大切なものを守れると信じていた頃。赤く塗り潰された骸、奪い去られた指、ネットに響く連続殺人鬼の嘲笑。焦燥、嫉妬、保身、侮蔑、野心、閉塞、孤独。警察組織という檻の中、牙と傷を隠し持つ刑事達の中に幾つもの感情が渦を巻き、入り混じった色はやがてどす黒く濁る。守るためにあると疑わなかったその手が、真実と共に掴み取った、絶望、空虚、後悔。悔やんでも、嘆いても、二度と取り戻せないものがあり、失った後でようやく知るものがある。消え去ることのない、苦い色を。 2011/10/06

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