感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
6
F・ボアズに始まる文化相対主義が未開文化との文明の共時的差異を強調しその要因を環境に見出した点を、著者は環境決定論として疑問視し、差異は通時的にも存在し、環境を作る自然と社会の適応の度合とその変化に目を向ける。多様な差異を総合する際、フランス人類学は数学由来の構造を導入したが、アメリカの人類学者である著者は、生物学由来のシステムを導入し、進化論を通して通時的差異を説明しようとした。その科学的な姿勢から著者の多系進化は平行進化に留まったというが、その近代化論も含む本書は、人類学を地球大の生態系へ差し向けた。2024/03/23




