出版社内容情報
天正6年、羽柴秀吉は青野城を囲む。一方、江戸南町奉行所定廻り同心瀬波新九郎は、戦国時代にタイムスリップし――。
内容説明
天正六年(一五七八年)、東播磨。織田信長配下の羽柴筑前守秀吉は、「鷹乃城」と呼ばれる青野城を囲み、軍師竹中半兵衛、黒田官兵衛と策を練っている。一方、江戸・南町奉行所同心・瀬波新九郎は、殺しの下手人を追っているさなかに崖から転落、意識を失う。目覚めたところは、戦国の暗雲たちこめる見知らぬ城下―。ひょんなことから秀吉勢に囲まれる青野城に密書を届けることとなった新九郎は、城内に留め置かれることに。すると、本丸の一室にいた重臣の一人が殺害されているのが見つかった。下手人捜しを頼まれた新九郎が探索の果てにたどり着いた真相とは…。驚愕のラストが待つ!江戸情緒に戦国の密室ミステリー、そして、淡いロマンスまで盛り込まれた贅沢な一冊!
著者等紹介
山本巧次[ヤマモトコウジ]
1960年、和歌山県生まれ。中央大学法学部卒業。第13回『このミステリーがすごい!』大賞隠し玉となった『大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう』で2015年デビュー。’18年、『阪堺電車177号の追憶』で第6回大阪ほんま本大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
オーウェン
58
南町奉行の役人瀬波新九郎は下手人を追ってる際にタイムスリップして戦国時代にワープしてしまう。 その時代では秀吉が攻め入ろうとしている青野城の城主鶴岡式部に案内され城内へ。 そこで刀に斬られた上士が発見され、関係者外ということで、新九郎に捜査の折を。 設定は面白いが、所々疑問な点がある。 それを埋めるのが歴史上の武将たち。 秀吉の猿ぶりや、黒田官兵衛の狡猾さなど。 城の姫とのほのかなロマンスもあり。 時代は戦国。解決したからと言ってめでたしめでたしとはならないのだ。2023/04/21
ひさか
29
2021年4月光文社刊。書下ろし。江戸の同心が戦国時代にタイムスリップ!。城の姫と一緒に殺人事件を解決して、元の世に帰るという謎解きありのストレートで楽しいお話。様々な思いを持つ戦国時代の武士達の世界やそこに持ち込む同心の視点等に工夫があり、楽しめました。ラストの江戸の世で、姫様の消息に行き着くところが良かったです。2021/07/11
rosetta
29
★★★✩✩昼間読んだ『彼女のスマホ』の志駕晃さんと同じく「このミス大賞」出身の作家さん。何気に活躍している人多いよな。この人の本は『開化鐵道探偵』とか読んだことがあるけど、歴史物も得意にしているのかな。戦国時代羽柴秀吉に攻められている播磨の鷹乃城にタイムスリップ!って普通は現代人が主人公になる所を、この本では江戸時代の奉行所同心だって設定が一頭地を抜いているよね。考えてみたら今現代から思えば江戸時代も戦国時代も歴史の彼方だけど、主人公の時代からしてみたら戦国時代は200年も前のれっきとした歴史なんだよね2021/06/08
fuku3
21
2021.4.30読了。江戸の同心瀬波新九郎は下手人を追っている途中に地震に遭い200年前の戦国時代にタイムスリップした!新九郎は播磨の青野城(鷹乃城)羽柴軍の大軍に包囲され籠城している所に潜りこんだ!城中で殺人事件が起こり城主の鶴岡影安より犯人を見つける様にと!何とキテレツな展開この戦国ミステリがどんでん返しの連続で面白い!奈津姫と新九郎の仄かな恋模様も見逃せない!歴史小説としても竹中半兵衛、黒田官兵衛の闇の暗躍やそれを裏で操る羽柴秀吉の腹黒さが光る!新九郎は無事に江戸時代に戻る事が出来るのか⁉︎ 2021/04/30
本の蟲
17
初読み作家だがなかなか良かった。現代日本人が戦前戦後、江戸時代に戦国時代、鎌倉時代から旧石器時代まで数多の時代に跳ぶ物語は無数にある。しかし今作は江戸奉行所同心が、そこから200年前の戦国時代で、羽柴秀吉が包囲する播磨国青野城内で起きた重臣殺しの下手人を探る異色のタイムスリップミステリー。読者は同じ刀を差したお侍と考えがちだが、髷や着物、話し方から考え方の差異まで語られていておもしろい。思えば現代日本も戦後まだ100年も経っていない。260年に及ぶ江戸時代の泰平の世がいかに奇跡的だったのかよくわかる2021/06/22