出版社内容情報
安楽椅子に座ると不安が高まり、異様なまでの集中力を発揮する。不安椅子探偵の活躍やいかに!
内容説明
あるとき起こった夫婦間の殺人事件。妻の浪費癖や浮気が原因と思われた。事件は一応の終焉を迎えたかに見えたが、行方不明事件が発生し、さらには連続頭部遺棄事件という深い闇が…。幼児誘拐犯+頭部遺棄殺人犯VS.刑事×憂鬱な引きこもり青年。甘美な罠、許されざる復讐。そして迎える慟哭のラスト!新感覚ミステリー、ここに誕生!史上最弱、不安椅子探偵あらわる!
著者等紹介
石川智健[イシカワトモタケ]
1985年神奈川県生まれ。25歳のときに書いた『グレイメン』で2011年に国際的小説アワード「ゴールデン・エレファント賞」第2回大賞を受賞。’12年に同作品が日米韓で刊行となり、作家デビューを果たす。現在は医療系企業に勤めながら、執筆活動に励んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
35
安楽椅子探偵ならぬ不安椅子探偵の登場。風変わりな設定を楽しめたミステリ。小鳥冬馬は豊富な知識の持ち主だがいつも不安に苛まれ憂鬱状態。さらに安楽椅子に座ると不安が増して推理力が一層鋭くなるという変わった特性を有していた。パターンもの短編集かと思ったら長編で、既発表の短編に書下ろしの話を繋げていて2章目で少し驚いた。その後の展開も意外な方向に拡大していき先が読めない。真相は結構びっくり。後から考えると伏線に納得なんだけど変則的な雰囲気に惑わされたかも。主役は割とさらっとした印象だったが、話は苦味が強かった。2017/06/22
hirune
34
小鳥冬馬の心像…トーマの心臓のもじりなのかな?と思ったけど 関係ないか😅なんかくら〜い話で 事件も胸糞悪い事が次から次へと起こるし、言ってしまえば 冬馬も青山も冴子も新妻も他の刑事とか容疑者とかも全部キライだった(^^; 面白くないわけじゃないけど、扱われた犯罪が犯罪だし、結末にあんまり救いがないしで ちょっと辛かったなぁ。。2019/06/13
薦渕雅春
32
第1章、夫婦間の殺人事件の所では 短編集なのかと。ところが その娘が行方不明となり、そこからが本番だった。心像ー記憶・想像などによって、現実の刺激がないにもかかわらず意識に生じる直接的な像。先輩から冬馬との関係を引き継いだ、同級生の陽介。冬馬の超人的な推理力、圧倒的な情報量は本からか!「本を読むことを無駄だという人がいる。でも、本という媒体は有用だよ。能動的に知識を吸収する努力と、それによって浮かんでくる際限のない空想と疑問に向き合うことができれば、思考は小さな脳を飛び出し、世界を無限に押し広げてくれる」2017/12/27
まー
29
安楽椅子に座ると不安でたまらなくなる、強迫神経症の探偵役。すごい設定だなぁ。坂木さんの引きこもり探偵を連想しましたが、ワトソン役の友人刑事との関係は、またちょっと違うかんじ。短編かと思ったら長編で、けっこう重苦しい事件でした。2017/08/01
ベルガモット
12
強迫神経症で鬱気味で引きこもり、不安が増すと推理力も増すという冬馬。その道具が安楽椅子という、なかなか洒落の効いた設定やタイトルからしてユーモラスな連作短編集かと思ってました。が、中身は結構重く苦々しい長篇、色々な意味で裏切られ驚かされました。事件の話でいえば確かに重苦しいのですが、不思議と嫌な湿度は感じず。新たな名探偵誕生を祝したいです。短編で色々な切り口からの解決方法を見てみたいかも。2017/07/28