内容説明
豊臣恩顧の福島政則、加藤忠広らの改易が続くなか、利常は英知を駆使して前田家の安泰を目指す。武威の徳川に対し、“文化立国”で挑戦する利常。諸国から一流の職工、芸術化を招き、金沢城下に絢爛豪華な百万石文化を築く。辰巳用水の掘削、“改作法”など、善政を敷いた名君の実像を『前田利家』『前田太平記』の著者が渾身の筆致で描く、長編歴史大作。
感想・レビュー
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フミ
17
加賀・前田家、3代目藩主のお話、下巻です。上巻で、実質、主役のように情報収集で活躍していた「中条流」の剣豪「富田重政」が、前半90頁ほどで亡くなり、嫡男の「重康」に目線が移るとともに、主題となる「前田利常公」の出番が増えて来た印象です。 物語というよりも、1630年代初めから、終わりまでの前田家、徳川家のエピソードを書き連ねた感じで、1631年の金沢城と城下町の火災、城に水を引く「辰巳用水」の工事と、責任者のトラブル、あと、水戸藩の姫君を4代「光高」に頂く話など、細かいお話が盛り沢山の内容でした。2022/11/21
Chili
5
戸部新十郎『前田利常(下)』読了。板屋兵四郎が出てきたりして、少し持ってる知識と多少リンクするが、内政より外交にフォーカスをあてているような印象。少し、物足りない気がした2020/11/29
さとうはるみ
3
文化立国にする、文化で戦うことで徳川と渡り合うと決めた利常さん。相手の土俵ではなく自分の土俵で戦おうとする姿勢が素晴らしい。文化が生き残る術と見切った慧眼は今も加賀文化として残るほど。それだけに留まらず、治水や政治改革までやり遂げてしまう。武士のサラリーマン化を成し遂げたと言うがいったいどうやったのか? 織田信長さんもある意味武士のサラリーマン化を進めたが苦労している。平和な時代にどうやってやったのか気になる。前田家の利常~綱紀さんの時代は名君が揃っている。この時代をもっと知りたい。2022/09/13