内容説明
産み月が近い市岡美佐という武家の妻女が慶光寺に駆け込んできた。美佐は夫に女ができたので離縁したいと訴えた。お登勢は美佐が身二つになることを考え、離縁が良い選択にはならないと反対したが、せめて子を産むまで置いてくれと必死に懇願するのだった。美佐の言動に不審を抱いた十四郎とお登勢だったが、調べるうちにこの駆け込みの哀しい真相をつかんで…。深川の寺宿『橘屋』のお登勢と塙十四郎の人情裁きを繊細な筆致で描く、シリーズ第十五弾。特別付録『隅田川御用帳』ゆかりの地図。書下ろし時代小説。
著者等紹介
藤原緋沙子[フジワラヒサコ]
高知県生まれ。立命館大学文学部史学科卒業。小松左京主宰の創作教室「創翔塾」出身(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とし
30
橘屋を繰り広げられる様々な事件、男と女夫婦の人生ていろいろありますよね、ずっと連載してほしいシリーズです。2013/11/10
ひさか
9
前巻で愛を確認し合った十四朗とお登勢の行方が楽しみでしたが、相変わらずの忍ぶ恋路線です。 二人の仲は余り進展せず、駆け込みの事件だけが進むという、毎度の展開が続くので、安心といえば安心な進み方です。2012/05/29
たーくん
7
橘屋に市岡美佐という武家の妻女が駆け込んできた。驚いたことに妊娠していたが、亭主が酒と女に溺れ、暴力をふるうという。亭主に離縁を申し出ても取り合わないと必死に訴えるが……。女と男の愛憎劇を見事に裁く橘屋の女主人・お登勢と塙十四郎をきめ細やかな筆致で描く好評シリーズ第十五弾!2023/02/06
うみろー
6
十四郎とお登勢気持ちは十分つながっているのに、忙しさになかなか進展しない。夫婦の縺れを解くような橘屋の話だが、今回ばかりは万吉の話に尽きる。助けてもらったことに恩を感じ一生懸命頑張る万吉が愛おしい。宇吉夫婦から可愛がってもらったことは忘れないで欲しいなと思う。2012/10/28
あかんべ
6
どこまで続くのかな?このシリーズ前巻で良い感じになったっていうのにやっぱり武家と町人には乗り越えられない壁があるのか?今回は万吉の話がよかった。二回も親に捨てられた子の悲しさはいかばかりか、万吉の元気さにいじらしさを感じる。2012/05/11