内容説明
増え続ける医療難民に、アメリカはどう立ち向かうのか。米国史上初めて国民に保険加入を義務づけたオバマの医療改革法。無保険者削減をめざす制度の成立過程をたどり、その意義と課題に迫る。
目次
医療改革の歴史と医療保障制度の現状
オバマ政権の医療改革の概要と特質
改革をめぐる政治的対立とその超克―民主党を中心に
オバマ改革の残された課題(政治的な課題;医療面での課題)
現代米国医療政策の課題
著者等紹介
天野拓[アマノタク]
1971年生。2005年慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程(政治学)修了、博士(法学)。専門は政治学、医療政策。現在、熊本県立大学准教授。著書に『現代アメリカの医療政策と専門家集団』(慶應義塾大学出版会、2006)で2007年度アメリカ学会清水博賞受賞、などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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coolflat
7
米国の医療保険制度の仕組みと歴史的背景、共和党と民主党の医療政策の違い、今までどの政権もなしえなかった国民皆保険制度をなぜオバマ政権がなしえたかという点など、少々難解だが、これ一冊でアメリカの医療政策がつぶさに理解できる。結局のところ、米国に欧州や日本のような公的医療保険制度が導入できない理由は、民間医療保険のシステムの複雑さにあると言っていい。米国独特の徹底的な個人主義と利害団体と商業主義とがそれに絡んで、徹底して公的医療保険制度の導入を阻んでいる。更に国民の過半数が賛成しないのも、それに拍車をかける。2014/04/02
papahaba
0
国民皆保険がなく、医療費高騰のアメリカ。オバマ政権の医療改革だけでなく、アメリカ医療保険制度、歴史、政治的経緯・背景、現制度と課題まで豊富なデータを基に実証的に解説している良書。強い中央統制政府をイデオロギー的に持ちえない国が、軍事・福祉・医療・税制・規制等 の改革を進める事は、破綻モード以外にあり得ない事は怖い。2020/06/28