出版社内容情報
現代の心の哲学は、認知科学や生物学、脳生理学の知見を参照しながら展開されるのが普通である。その方向は、基本的に「物的一元論」の可能性を探るという形になる。哲学の伝統の中には、逆に強固な心身ニ元論があり、私たちの日常のなかにも、心の存在を前提にした方が話が通じやすい領域がある。科学の追究する物的一元論と哲学的常識的なニ元論はどのように調停されるのであろうか。物的な世界のうちに心的なものの適当な居場所を見出すことはできるだろうか。本書はこの課題を心身問題、志向性、意識の三部に分け、英米哲学の先端的な議論を踏ま
内容説明
本書は、心的なものを何らかの意味で物的なものとして理解しようとする物的一元論の可能性を探りたいと思う。心的なものを物的なものとして理解するということは、心的なものを何らかの仕方で物的世界に定位するということ、物的世界のうちに心的なものの適当な居場所を見い出してやることである。つまり、心的なものを超自然的なものとしてではなく、物的世界に生起する自然現象として理解するということである。物的一元論はこのような心の自然化を目指す。
目次
1 心身問題(因果性から見た心と脳;命題的態度と合理性;心の実在性)
2 志向性(志向性の自然化;非法則性と志向的内容;解釈の不確定性)
3 意識(意識の謎;感覚質の志向化)