内容説明
「景観」を私たちの手に取り戻そう!景観概念が矮小化されてゆく今日の状況に警鐘を打ち鳴らす。景観概念のさらなる発展に向けて。
目次
第1部 景観の制度と概念に関する再考(景観の計画的リビジョン;景観という概念について考える;ポスト都市化時代の景観アプローチ)
第2部 これからを示唆する景観アプローチ各論(都心の水辺を人間的な暖かみある場へ;地域風景資産に始まる市民主体の風景づくり;ローカルレベルの景観資源を活かす地域再生 ほか)
第3部 景観からのゆたかな人間環境づくり宣言
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とりもり
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海外の景観をべた褒めするくせに、身近な景観には無頓着な日本において、より身近な景観の持つ意味を改めて考える一冊。建築史的に価値がある建物でも、容積率を消化するためには保存運動を無視して建て替える。周囲が低層住宅でも、用途地域がOKなら高層マンションを平気で建てる。こうした民度の低い日本の建築業界が、この本の提言をどの程度尊重するかは甚だ疑問だが、特殊な景観だけが保護されるべき対象ではないというこの本の主張は、より顧みられるべきだと思う。「自分のまちは自分でつくる」というフレーズが心に残った。★★★★☆2014/05/07
Noy_nak13
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景観法公布から今年で10年。オビに書いてあるのは「景観」を私たちの手に取り戻そう!本書題名の通り景観について様々な角度から再考している。どちらかといえば視覚・空間環境の把握が主だったものから、人を中心とした全体的環境関係性からの再構築へ徐々に重心が移動している。本書は状況整理とその帰結として10の宣言を記している。印象に残ったのは中村良夫先生が1977年に「景観原論」で景観を「環境のながめ」としていらっしゃった点。2014/01/08