内容説明
『源氏物語』の源泉として、実在人物や当時の気象、内裏建築、梅花や琴(きん)という斬新な切り口で挑み、深く新しい読みを提唱。論を成すために徹底的に追求する姿勢が『承安五節絵』研究に、琴(きん)の実体験に基づいた音楽論に結実した。『源氏物語』を女性の生き方を探究した書と位置づけ、鎌倉時代初めの『無名草子』がいかにそれを継承したかを併せて論じ、『源氏物語』の成立以前、当時、以後と、長いスパンで、物語の本質と方法を明らかにしていく。
目次
第1章 『源氏物語』の源泉と人物造型(藤壼の和歌―『伊勢物語』の受容の方法;紫の上の和歌―『源氏物語』における和歌の機能;朧月夜―歌詞改変のトリック;源典侍の人物造型;玉鬘)
第2章 『源氏物語』における梅花の役割(末摘花と梅花―末摘花邸の梅は白梅か紅梅か;二条院と六条院の梅花―紫の上と女三宮の対比;『源氏物語』続編の梅花と香り―正編と続編を繋ぐもの)
第3章 『源氏物語』の音楽(和琴―よく鳴る和琴・よく鳴る琴;琴(きん)の意味するもの)
第4章 物語世界と殿舎―絵画資料としての『承安五節絵』(弘徽殿の細殿―光源氏と朧月夜の出会いの場;『承安五節絵』の流伝;『承安五節会』詞書 本文と校異;冷泉為恭の『年中行事図巻』と『承安五節会』)
第5章 『源氏物語』から『無名草子』へ―物語世界の継承―(『無名草子』の諸本についての覚書;いとぐちの部分の虚構の方法;老尼について;老尼はなぜ景勝光院に立ち寄ったか;女性論―説話の摂取と受容を中心に;『無明草子』における「捨てがたし」について―『源氏物語』からの継承)
著者等紹介
川島絹江[カワシマキヌエ]
1953年、埼玉県生まれ。筑波大学大学院博士課程文芸・言語研究科単位取得満期退学。現在、東京成徳短期大学教授。博士(学術)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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