内容説明
群馬県の田舎町で起きた夫婦殺害事件。警察は被害者の幼馴染で建設現場労働者の大船貢を逮捕した。全くの濡れ衣であったが、逮捕・裁判の過程で、貧しいながらも幸せだった家庭は一挙に崩壊した。事件が起きた時、小学校三年生だった三女・典子は、成人して看護師として働いていた。ある日、元教師の老人が入院してきた。毎夜うわごとを繰り返す老人の言葉は、偶然、父の冤罪事件に関係したものだった。典子は復讐を決意する―。社会派ミステリーの力作!!
著者等紹介
麻野涼[アサノリョウ]
1950年埼玉県生まれ。早稲田大学卒業後、ブラジルへ移住。サンパウロで発行されている日系紙パウリスタ新聞(現ニッケイ新聞)勤務を経て、78年帰国。以後、フリーライター。高橋幸春のペンネームでノンフィクションを執筆。87年、『カリブ海の“楽園”』(潮出版)で第六回潮ノンフィクション賞、91年に『蒼〓(ぼう)の大地』(講談社)で第13回講談社ノンフィクション賞受賞。2000年に初の小説『天皇の船』(文藝春秋)を麻野涼のペンネームで上梓(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
108
冤罪で家庭が・家族が崩壊した三女の復讐劇。検察がもう少し深く調査していたらこんなラストにはならなかったろうに・・ それにしても、女の一念岩をも通す!のだなぁ。こんな教師が存在していたことに反吐が出る!とっとと罷免だろうが!!(怒) 真犯人はこうして生きて、生き続けていたのだなぁと、思うものの真実は一つ(どこかで聞いたフレーズ・・ここはスルーして・・ね)やはり日の元に曝されることになっているのだよ。2016/07/26
papako
77
ずっと気になっていたけど初めて読む作者。最初はかたい文章で、冤罪事件を追うのか?と思って読んでいたら、復讐がメインになって、なんだか2時間サスペンスを読んでるみたいになり、びっくり。もちろん箱崎は許せない悪人。だけど典子のやり方が気持ち悪かった。きっと今日子が出所したら同じような復讐をするんだろうな。箱崎みたいな教師が最後まで教師をできていたこと、こういうことってあるのかしら。最悪だ。典子の会話とか設定とか昭和を感じる。でもそんなに古くはないのね。2020/06/17
はつばあば
59
人の怒りの凄まじさをまじまじと実感した。正直怖かった。それだけ冤罪を許してはならないという訴えとも云える。勿論、本当の犯人が悪いのだが、マスコミのバッシングが目くらましにもなっている事もあるかも知れない。警察官も人の子、間違いを犯すこともあるが検察はどうだ?。復讐される人間もそれだけの事をしてるのだから罰は当然とは思うが・・復讐する側の恨みつらみの感情が爆発したのだろうが、なんら犯罪者と変わらない事をしたのが悲しい。生きている以上恨みを買うこともあるだろう。なるべく何事もなく平凡な余生を送り続けたいものだ2016/08/01
momi
41
父親を殺人犯にされた…。一家離散…。父の免罪事件の真犯人に償わせるため…三女の復讐劇がはじまる…。この方の作品は、最初から引き込まれるし実際におきた事件なのかな?と錯覚してしまうほどの力のある作家さんだとは思うのだけど、ラストのどんでん返しのところが浅くて、もうちょっとそこは長く書いて欲しいなと…。でもラストまでは、ものすごい復讐劇です!痛くて、痛くて、あれは虐待でした!けれど、あそこまで人に恨まれるあいつは最悪な人間だからです…。悪いことをすれば、いつか必ず自分に返ってくる…。気をつけましょう!! 2015/03/10
くるぶしふくらはぎ
26
父親が冤罪で逮捕、一家崩壊…ここまでが序章。数年後、父の無実は確定するが、母も父も疲労が祟り死亡、二人の姉は自殺、行方不明、主人公の三女は、故郷を離れ看護士になるが、過去の父の事件が無実ではあるが原因となり離婚。そして、故郷に戻り父の事件の関係者と出会うことに。復讐が始まる…。なかなかにハードな内容でした。2018/01/06