内容説明
宮中奥深く5人の側近をまえにして、昭和天皇は何を語ろうとしたのか。「独白」に秘められた意図は何か。4人の歴史家が縦横に論じ、昭和天皇のまわりにめぐらされた幾重もの政治神話のベールをはぎとる、長時間シンポジウムの全記録。
目次
報告1 「独白録」の史料的価値
報告2 「独白録」にみる大元帥・昭和天皇の役割
報告3 「独白録」と「5人の会」
報告4 東京裁判と天皇「独白録」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Takao
5
1991年3月20日発行(初版)。『文藝春秋』1990年12月号で「独白録」が公開され、12月20日、本書執筆者による非公開シンポジウムが行われ、まとめたのが本書。新たな戦前とも言われる現在、戦争の歴史、戦後史を改めて考える必要を感じている。戦後間もない時期にまとめられた「独白録」には史料的価値も高い、と言われるが、昭和天皇自身は戦後の戦犯追及から逃れるための言い訳に終始している。しかし、天皇個人の責任ではなく、国家として、政府としての責任を考える必要がある、との指摘に改めて学んだ。2023/09/23
めっかち
2
読むのをやめた。「昭和天皇は歴史を捏造した。国民を騙していた。昭和天皇には戦争責任がある。」冒頭だけでこんなことが書かれている。よくよく著者たちを見れば、極左、マルクス主義系の学者ばかり……。ああ、出版社もマルクス主義の書籍の刊行が多い大月書店さんじゃないか……。2020/11/03
darkfatnov
0
自分は平成生まれですが、昭和天皇の独白録なるものがあるとは知りませんでした。昭和天皇は軍部の圧力に負けて戦争へ舵を切った被害者。そういった認識があったのですが、独白録での昭和天皇自身の自白、そして少ないながらも現存する傍証から、実際は昭和天皇も十五年戦争の開始、継続に大きな影響を与えていたことが分かる。自分にとってはとても新しい見識を与えられました。 そして、この本が刊行された約20年前より、日本社会は天皇を批判してはならないのだという強迫観念が強くなっているのだと気付きました。2021/08/07