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- > ランダムハウス講談社文庫
内容説明
一八九七年、東アフリカの鉄道建設地に最悪の事件が起こった。人喰ライオンの群が労働者たちを襲ったのだ。繰り返される惨劇、コレラとの闘い、現地住民との摩擦…。開発と自然保護は両立するのか?開拓時代のアフリカを舞台に、ライオンの苦悩と人間の奮闘を克明に描いた傑作長編。
著者等紹介
戸川幸夫[トガワユキオ]
1912年、佐賀県生まれ。旧制山形高校(現・山形大学)の理科に入学。1937年、東京日日新聞社(現・毎日新聞社)に入社。太平洋戦争中、海軍報道班員として南方をまわる。終戦後も記者として活動したが、1955年、初の小説『高安犬物語』が直木賞受賞。以後、動物小説を次々と発表し、「動物文学」をジャンルとして確立。1965年には西表島でイリオモテヤマネコを発見。紫綬褒章、三等瑞宝章受章。2004年5月没
小林照幸[コバヤシテルユキ]
1968年、長野県生まれ。明治薬科大学在学中の1992年、『毒蛇』で第1回開高健賞奨励賞を受賞。1999年、『朱鷺の遺言』で、第30回大宅壮一ノンフィクション賞を同賞史上最年少で受賞(当時)。信州大学経済学部卒。明治薬科大学非常勤講師(生薬学担当)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
大工のおかみさん
1
やあっ久々に動物相手に闘う人達の物語に、ワクワク、ドキドキしながら読了しました‼️ 面白かった‼️ 人喰いになったライオンのまるで人間的な感情も書き表しているので、これもまた面白く読めましたねo(^-^)o2022/11/06
piccoro116
0
戸川幸夫は、アフリカを取材中に現地のレンジャーから1800年代に起きたある話を聞かされる。東アフリカの鉄道敷設の際にライオンが100人を越す作業員を食い殺したという話である。戸川は現地で調査を開始し、その事件に実際に遭遇した人の記録を探し当てる。この人喰い鉄道はその記録から、戸川が創作した小説である。創作といっても、登場する人物は実名を使用しており、場所も同じ場所を舞台にしている。内容はライオンとの戦いだけでなく、鉄道敷設をめぐる人間関係の問題、アフリカの中にある人種差別の問題についてもふれとても面白い。2013/09/23
小心
0
次から次へと災難が降りかかり、それをバシバシ解決していく紙芝居みたいな話だなあと思った。その理由は昔週刊誌に連載されてたからなのね。遠い国の話なので架空の冒険小説みたいに楽しめたけど、ベースになった実話があるんだよね。アメリカ映画の「ゴースト&ダークネス」という映画を見たけれど、戸川さんの小説のほうが面白かった。 ところで北海道の開拓村を襲ったヒグマの話、吉村昭さんの「羆嵐(くまあらし)」を以前読んだけれど、戸川さんも同じ題材の「羆風(くまかぜ)」という作品があるのね。なんでこんなにタイトルが似てるのかな2012/09/20
秋津丸
0
本の題名「人喰鉄道」とは、けっこう怖い。この本は、1898年にケニアのツァボ川での人喰いライオンの話が元にしている。とはいえ、戸川幸夫である。人喰ライオンが悪いとか、人間が悪いというような単純な話ではなく、アフリカの大地に鉄道敷設する文明と、開発されていくアフリカの自然の狭間に、人とライオンが必死に生きていくという内容になっている。 戸川幸夫の作品は久しぶりに読んだが、この作品を子供の頃に読んでいなくてよかった。あまりにも簡単に人が死んでいく・・・2012/09/19
かなかな
0
ハンターに手負いにされた雄ライオンが 傷ついた体で縞馬等の草食動物を狩り出来なくなり 鉄道工事に従事する人々を襲い続けたという 実話をもとにした話。生きる為に人間を襲うライオンと 未開の地に鉄道をひくために奮闘するイギリス人技師との攻防戦。自然、野生動物、未開の地の人々、先進国…立場がかわると考え方も変わってくる。それぞれの立場を尊重しながら 共に幸せになるには どうしたら良いのか ということを考えさせられる 小説2012/01/08