出版社内容情報
頼りになるのは己の腕ひとつ――「おれは一万石」などのシリーズで人気の時代小説家が紡ぐ、職人の矜持と男女の機微。奉公してから十五年、ようやく自分の店を持つことになった料理人の伴次。店を持ったら女手が必要になる。そろそろ女房を持ってもいいのでは――その時、伴次に苦い思いが湧いた。七年前、一緒になるという約束を破り、他の男と所帯を持ったおつな。だが男に騙され、女郎屋に売られたあげく体をこわして死んだのだ……。表題作をはじめ、己の腕のみを頼りに懸命に生きる職人の姿を描いた傑作時代小説集。
千野隆司[チノタカシ]
著・文・その他
内容説明
奉公してから十五年、ようやく自分の店を持つことになった料理人の伴次。店を持ったら女手が必要になる。そろそろ女房を持ってもいいのでは―その時、伴次に苦い思いが湧いた。七年前、一緒になるという約束を破り、他の男と所帯を持ったおつな。だが男に騙され、女郎屋に売られたあげく体をこわして死んだのだ…。己の腕を頼りに懸命に生きる職人の姿を描いた傑作時代小説集。
著者等紹介
千野隆司[チノタカシ]
1951年東京都生まれ。國學院大學文学部文学科卒。出版社勤務を経て、1990年「夜の道行」で第12回小説推理新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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真理そら
19
1993~2004年「問題小説」掲載の短編集。植木屋、瓦職人、御簾職人、経師職人等々様々な職人を扱った9つの短編。いわゆる職人気質的な要素より職人の人間臭さが描かれている。竈職人を描いた『両国橋から』、煙管職人を描いた『盂蘭盆会の火』が好きかな。2018/09/08
高橋 (犬塚)裕道
9
星4。千野隆司という作家は侍ものより市井の人々を描く方が上手いのではないか?侍よりも市井の人々の方が好きなのかもしれない。大変良かったです。2023/10/02
nyanlay
5
最初から何だかなぁとやるせない気持ちの作品でしたが、江戸に生きる職人さんの作業をイメージするのは楽しかったです。全部が悲しい結末ではなく救われました。2021/04/14
ひさか
4
問題小説1993年6月号〜2004年1月号に掲載された:闇の河岸、驟雨に消えた、両国橋から、藪入りの声、野分の朝、木槌の音、盂蘭盆会の火、ろくでなし、糊と刷毛の9話を2018年9月徳間文庫刊。文庫オリジナル。年代順に並べると、千野さんの9年間の軌跡が見えるようで面白かった。2019/06/29
ナツメッグ☆
3
著者のデビュー間もない頃の江戸のさまざまな職人を描いた短編集。粗削りだがういういしさを感じる。芯はいまにしっかりつながっている。 「両国橋から」、「野分の朝」、「木槌の音」、「盂蘭盆会の火」がいい。なかでも「ろくでなし」は秀逸。2018/09/13