内容説明
昭和五十一年六月、福岡県飯塚市で起きた、一家四人殺害事件。内縁の妻の家族を殺めた容疑で逮捕された秋好英明は、冤罪を訴えるも、最高裁で死刑が確定し、現在、再審請求中である…。本格ミステリーの鬼才の筆は、英明が「犯罪」を犯すに至る過程を克明に描ききることで、日本人にとっての「昭和」の意味を読者に改めて問いかける。島田荘司入魂のノンフィクション・ノベル超大作、遂に文庫化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coco夏ko10角
27
昭和51年に実際あった殺人事件、と知らずに読み始めた。裁判記録、秋好の半生、裁判…。著者が共犯説をとっていて秋好と何度もやり取りをして書かれたものだから、富江側からしたら違う物語があるかもしれない。裁判結果からその後のことまで、色々と考えてしまう。2019/03/14
naolog
6
約2週間かけてようやく読めた。裁判が長い。。現実の事件というのはこんなものかという所と、昭和の文化を感じた。2018/07/10
Tetchy
3
昭和51年6月13日から翌14日にかけて起こった一家連続殺人事件の犯人とされる秋好英明の裁判記録と彼の犯罪に至るまでの半生を綴った本書は、島田の「秋好冤罪」を信じてやまない執念が結集した、畢生の大作である。秋好英明の半生を語る部分は細かな所まで詳述し、彼の人生を少しも漏らさないぞという意気込みが感じられ、熱気に満ちている。しかしこの秋好英明という男の半生は何かしら、大きな負のエネルギーに覆われているとしか思えないほど、報われないものだったなぁと感じる。でも正直冒頭の裁判記録はかなり苦痛を強いる読書だった。2009/08/12
音樹
1
真実を追い求める難しさと弱者の儚さを。
Arte
1
『アトポス』でも思ったが、本当に島田荘司は伝記が面白い。確かに冤罪というのは最悪だが、それにしても同情する気になれないこの主人公の事件を本にするところがまた凄い。 2007/11/07