内容説明
新婚旅行中に新潟で行方不明になっていた女性が、三カ月後、沼越峠で全裸死体で発見された。同じ頃、新潟県の国道沿いでカップルの失踪事件が相次いでいた。新潟県警は全力を挙げて捜査態勢を敷く。被害者の兄である北岡刑事は五頭山麓へと分け入り聞き込みを行う。しかし、山麓西側の山荘に住む老人が恐るべき欲望に取り憑かれているとは、誰も知る由がなかった…。人間の狂気を描くハードロマン集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
64
うあああ、痛い、怖い。性の深淵と地獄を覗き込むような作品ばかりの短編集。男女を捕らえ飼育される様をじっくり観察する暗黒版「瓶詰地獄」ともいうべき表題作や、猿と人間の関係を描いて読んでると狂いそうになる「癋見の貌」等、とんでもない作品が揃っているが、続けて読まされた「魂魄さながら幽鬼なり」で完全に止めを刺される。個人的に肉体欠損って苦手なのだが、欠損する部分だけでもう逃げ出したくなる。そしてその後の地獄。反「芋虫」だな、これ。「馬鳴神」で多少爽やかな気分になるものの…。悪い夢読んでるような作品集であった。2021/07/04
ベック
2
のなんと強烈な世界観だろう。表題作の「症候群」からしてその異様な設定は群を抜いている。人が人を飼うという、あってはならない話をこれだけ掘り下げて描ききってしまうところに寿行の凄さがある。次の「癋見の貌(べしみのかお)」においては、猿が集団で○○○しちゃうってんだから開いた口がふさがらないとはこのことだ。「魂魄さながら幽鬼なり」では男性自身を切除した男が妻のために若い大学生をあてがうという話が描かれる。なんとも情けない話なのだが、これだけはなってみなく てはわからない苦悩だ。でも、怖いね。 2008/05/04
結城あすか
2
昔、思春期の頃、新聞の広告欄で見掛けて気になってた本だけど、何かハードで付いていけないにょ。2009/08/09
相楽(twitter:sagara1)
2
米澤穂信を作った「100冊の物語」」関連その10。"100冊"で84番目に挙げてのコメントに曰く、「このへんに隠しておけば、誰もきづかないかな?」。微妙に曲解かもしれないけれど、表題作読んでコメント読み返すと、あまりにブラック過ぎてどう反応していいかわからない気分になったりする。ちなみに、表題作は四組の男女が全裸にされ監禁されて、彼らが壊れていく様がじっと観察されていく話。他の収録作品もおしなべてとってもアレな感じ。2009/04/26