内容説明
関東大乱!足利成氏と両上杉の因縁の対立や、古河と堀越の関東公方が並立するという異常事態を背景に、坂東は数十年にわたる泥沼の戦塵に塗れる。継嗣問題に揺れる幕府が、京を灰燼に帰すことになる応仁の乱に向かうなか、扇谷上杉家の家宰として太田資長(道灌)は、生き残りをかけて戦う。関東一円の調略をすすめ騎虎の将と呼ばれた不世出の武将、太田道灌の生涯を描く戦国歴史大河小説。
著者等紹介
幡大介[バンダイスケ]
1968年、栃木県鹿沼市生まれ。武蔵野美術大学造形学部卒。テレビ局嘱託職員を経た後、CM製作会社勤務。イラストレーターとして広告に挿絵などを描いていたが、1995年、フリーライターに転じ、実録物など、数多くの媒体で活躍。2008年「天下御免の信十郎」シリーズで、時代小説作家として文壇デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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海猫
64
下巻に入ると物語はより太田道灌中心になり、関東の情勢を動かしてゆく。ここで描かれる道灌の人物像に面白みや魅力があって、行動言動を追っていく展開が、なかなかに読ませる。この時代この状況に道灌がいたからこその活躍があり、この時代この状況だったこその無念もあり、両方の側面がある。だからこそ内容に厚みや余韻を感じた。騎虎という言葉の意味に関しても、いろいろと思い馳せるものがある。2019/11/05
如水
33
下巻は江戸城建築後から。上巻の最後で家督を継いだ資長(道灌)の本領発揮!と長い戦乱の渦へ…しかしほぼ休まる事が無い戦乱(平穏だったのは4年間位)で、『昨日の友は明日の敵』を地で行く様な状態を良く治めたなぁ~。これは上下巻1,000P弱読む価値が有るっ!!が感想です😅ただ『盛者必衰の理を現わす』てぴったりな言葉が道灌亡後。寂れ寂れて江戸城下が日の目を見るのはなんと約100年ちょっと後!!!道灌が治めてた内容を見ると「ん⁈」と思う位。題材の『騎虎』と伊勢氏台頭前の関東戦国期を知りたい方は是非どうぞっ❗️2019/03/06
yomomo
11
戦国時代前夜の関東の情勢がよく分かった。伊勢新九郎(北条早雲)に繋がる終わり方も良かった。2023/10/19
ウォーカージョン
9
面白かった。道灌が意図せず、運命に引きずられて関東の覇者になっていく様子がよく描かれていた。覇者となるのを拒否した最期は、納得いくはいくもののあっけなさすぎる。道灌の死後の関東の混乱をもう少し詳しく描いてくれてあったらいいのに。背景としての武士の戦闘、中央から派遣された武士と地元武士の軋轢、派遣されてきた武士の土着など、しっかり調べてある。感心した。2018/06/23
kamakatsu
6
太田道灌の最後が誅殺だったとは。史実かどうかは解らないが、最後に後の北条早雲が意志を継ぐのは歴史上繋がる。2020/03/19