内容説明
雪が降り続ける世界。普通の人と目の色が異なるオッド・アイの少女ハルカと弟のユキジは、異能を持つために悪魔と呼ばれ、教会に追われていた。ハルカは心を失った双子の弟ユキジの手を引いて「楽園」を探す。旅の最中に出会った青年ウォーテンは二人が悪魔であることを知っても態度を変えなかった…。一方、悪魔を狩る役目を担う「狩人」の青年ルギは、教会に疑問を抱き始めていた。ハルカとユキジは、「楽園」の在り処を知るが、「狩人」たちに追い詰められて…。―お願い。なにも望まないから、なにも奪わないで。第5回トクマ・ノベルズEdge新人賞受賞作。
著者等紹介
張間ミカ[ハリマミカ]
1991年生まれ、神奈川県出身。本作『楽園まで』で第5回トクマ・ノベルズEdge新人賞を受賞、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たるき( ´ ▽ ` )ノ
43
この表紙からなんだか惹きつけられる。内容が気になってしょうがなかった!雪が降っている時の静けさが胸に響く。ぎゅっと心を掴まれて、痛くて、目を逸らすことができない。どうか楽園にたどり着けますように。2021/05/18
ゆめ
19
雪に覆われた世界で生きる、双子の悪魔の物語。装丁がすごく綺麗でこの世界観にぴったり。ハルカの理不尽な世界に対して抱く厭世感や、ひとりきりの家族であるユキジに対する希望と絶望の入り交じった複雑な感情。親友を失ったウォーテンの、恨むべき照準を見失った空虚感とやりきれなさ。神官でありながら悪魔を狩る局面に立たされるほどに神の存在や教会の在り方に疑念を抱かざるを得なくなるルギ。それらの複雑な感情とは対称的に、ただこんこんと冷酷に降り積もる雪。忌み嫌われながらも楽園を目指して歩き続ける双子の直向きさが美しかった。2013/11/19
香穂
13
楽園へ―世界から拒絶された双子がただひたすらに「楽園」を想い歩き続ける姿に震えた。寂しげで孤独な世界観が好き。彼女たちの旅の続きをもっと見たいなと少し思った2010/04/29
ao
11
淡々とし文章が、よりリアルに雪の世界と彼女たちの切なさを伝えてきた。いつの日か、二人が楽園にたどり着くことを祈る。「神」とか「正義」ってなんなんだろうね。2011/12/02
二藍
10
灰青と銀のオッド・アイをもつ双子の姉弟、ハルカとユキジ。その身に宿した異能のために悪魔と呼ばれ、教会に追われる日々を過ごしている。雪に閉ざされた白い世界で、ふたりが手を取り合って目指すのは、〈楽園〉。希望なんてほんとうにかすかなもので、雪のようにはかなく溶けていってしまう。心の壊れたユキジと手をつなぎつづけるハルカの姿は、今にも崩れ落ちそうでこわい。「楽園はあるよ」と繰り返し唱え、進むのをやめない強さが、痛々しい。言葉がまっすぐで迷いがなくて、それだけで読めてよかったと思う。2014/10/21
-
- 電子書籍
- 民法改正~日本は一夫多妻制になった~ …
-
- 洋書
- LA BECASSE