内容説明
久我山警察署の尾花警部補は、“落としの名人”という異名をとっていた。天才的なひらめきがあるでもなく、爆発的な行動力があるわけでもないのだが、完璧なアリバイをもつ者や黙秘を続ける者を相手にすると、不思議に力を発揮する。難攻不落と思われた被疑者も、いつしか尾花のペースにはまってしまうのであった。今もまた、彼は独身OL殺しの嫌疑をかけられた青年と、静かなる対決をくりひろげていた。尾花の落としのテクニックとは…(『手にはない指紋』)それぞれ個性のある刑事たちの実像を描く、迫真の警察ミステリー。