内容説明
慶応三年、益満休之助らは、火付け、強盗を行なって、江戸市中を混乱に陥れていた。世人、これを《御用盗》と呼んで恐れおののいた。江戸を目指す鞍馬天狗、黒姫の吉兵衛らは、徳川御一門ながら、魔剣の使い手、松平主税之介の奇襲を受け、同志の天野則武は毒煙に倒れた。危うく難を逃れた天狗は、暴漢の手から柳橋の名花、粂次を救い出した。運命の出逢いだった。ご存知鞍馬天狗の活躍を描く、痛快時代小説。
目次
奇怪な覆面武士の巻
江戸騒がせの巻
千代田城地下道の巻
水底地獄の巻
怪賊竜造寺浪右衛門
戸棚の中の鞍馬天狗
両雄一騎討の巻
善福寺竜攘虎搏の巻
獅子乱刀の巻
薩摩屋敷焼討ちの巻
お高祖頭巾の女の巻
水上霹靂火の巻
柳橋侠艶録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
折田楓そっくりおじさん・寺
55
最近、この大佛次郎の『鞍馬天狗』シリーズを読んでいる。図書館に多少あって、図書館には無いものを古本屋等で見つけると嬉しい。そんなシリーズは日々の楽しみに最適である。まだ数冊しか読んでいないが、私はすっかり鞍馬天狗その人が好きである。まずその気性の良さと、設定の謎が謎のままなのが良い。そして本書もそうだが、しょっちゅう痛め付けられている。本書は天狗が芸者に惚れられたりするのだが、水攻めに会うわ毒ガスは嗅がされるわ、ラストは火薬をしかけられた舟に乗り爆破されるわ。ヒーロー鞍馬天狗は元祖出川哲朗だと言ってみる。2018/09/24