内容説明
裏店の先生月瀬右馬丞、実は老中の密命で浪人に身を窶し、諸大名・旗本の動静を探る、歴とした松平家の次男坊。その先生がある日、お衿と五郎太に命じた。老中の書簡を携えた無刻飛脚として、将軍家献上の御茶壺の道中奉行石尾阿波守に喧嘩を売れという。斬首覚悟、何故先生は?市井には石尾阿波守、奥女中を相手の淫靡な嗜癖ありとの噂が流れていた(「壺涙かせ」)。色道に武士道を見る痛快時代小説連作。
目次
ねこざめ
海月どり
艾ぜめ
早乗り
不覗の井戸
てぐす
新枕
三ノ巾
壺涙かせ
音なしの構え
あんずの核
指きり
けそり女
猫ぐるま
悲しきソラマメ
鈴鳴き
うなぎ攻め