感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kouro-hou
24
1982年「SFアドベンチャー」誌の連載の後半戦。多数決をするにも「人数は徳間書店が多いが、講談社と光文社は親子だから奴ら同盟組むだろう」なんて言ってるおっさん揃いの文系編集者他約20名が曲りなりにも冥府の軍勢と戦えるのは、寿行先生に間接的にチート能力が付いているからw 先生に加勢する愛犬ちー子(数年前に死去)は紀州犬とはいえサラメーヤの犬と互角に戦うのだ。ヲヲw 上巻は一進一退であまり話は進まないが、下巻は巻きが入ったのか急ピッチ。ラスボスの扱いはあんまりと言えばあんまり。おまけで登場人物の座談会付きw2019/03/01
三柴ゆよし
1
小説家西村寿行率いる編集者軍団はいよいよ冥府との全面戦争へ。地獄とは釈迦の陰謀である。美女は奴隷に、残りは屠殺。亡者から搾取したエネルギーのうえに、醜怪な老人どもがあぐらをかいている。許すまじ。釈迦と閻魔をぶち殺し、地獄を楽土に変えるのだ。筒井康隆が裸足で逃げだすドタバタ劇。本編も凄まじいが、巻末、「地獄」出演者による座談会とか、あまりの内輪ネタっぷりに泣けてくる。もっと評価されるべき怪作。滅茶苦茶におもしろい。2010/07/19
sumjin
0
冥界では、先住民である鬼が、釈迦や閻魔が支配する冥府と戦っていた。日本の仏教冥府は、キリスト冥府やドイツ、フランスなどへ侵略していた。これをよく思わない冥界の支配者虚空地蔵は、寿行達と鬼達に手を組ませ、冥府に攻め込ませる。下巻の巻末の座談会に、寿行と、一緒に三途の川を渡った編集者達が写真付きで登場している。それを一読後、もう一度読み直すのも面白い。2012/06/09
毒モナカジャンボ
0
西村寿行自身が積み重ねてきた読み捨て本を裏返す。亡者と一編集者のロマンスや閻魔の描写が多少はあるものの、性行為のシーンは奪衣婆や鬼たち、尻植物などがメインで滑稽ですらあり、主要登場人物たちは性行為を回避させられ続ける。仏教冥府はたしかに破壊されたかもしれないが、スクリーンで西村軍団の醜い権力闘争を見る二人の視線を考えると、果たしてこれは反仏教、反宗教小説なのか?という気がしてくる。『薔薇の名前』にもあったが宗教の厳粛性が最も恐れるのは笑いであり、ここには野放図な楽屋ネタが散りばめられ、笑いは止まらない。2021/08/10