出版社内容情報
感性豊かな少女が男性優位の社会に幻滅し、同性を愛し、同性愛を至純なものとして追い求める。その愛を礎に才能を花開かせてゆく一生を同時代の文壇を背景に描く
内容説明
女流作家・吉屋信子と、秘書であり、養女であり、愛人であった女との往復書翰の公開―感性豊かな少女が男性優位の社会への幻滅から同性を愛し、その愛を礎に小説を書くことによって女の自立を立証した。戦前の名作『花物語』から晩年の『女人平家』まで、その情熱的な生涯を同時代の文壇を背景に描く。
目次
第1章 女人礼讃
第2章 幼き日
第3章 揺籃
第4章 出会い
第5章 花盛り
第6章 歳晩の時
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tegi
4
同時代の人々との関わりから極めて微細な心情まで、たいへん面白い評伝だった。困難な事情を抱えつつも、若くしてベストセラー作家となり、信頼できるパートナーを得たゆえの自由さ、モダンな生きぶりがかっこいい。竹久夢二の最低ぶりに笑う。2020/01/25
つぐみ
4
吉屋信子?『花物語』の作家でしょう?程度の知識で読んですみません。吉屋信子の生涯と共に作品も取り上げた一冊。吉屋信子の作品を取り巻く社会の背景、日記や書簡なども掲載されていて、読みごたえがある。所々少し作者の主観や想像で補われただろう部分が気になるが、入門としては丁度いいかもしれない。作者が吉屋信子自身から言われた、「女は女にやさしくあり合わなければ」という一言がひどく胸に残る。それは女同士を争わせる社会の仕組みやそれを都合のいいものと見なす誰かの思惑を飛び越えるための、呪いを解く言葉であると思う。2019/12/30
††悪意と悲劇 ††
3
百合のオタクはもちろん、当時の女流文化人の交流などに興味ある人は必読です2018/01/24
Gen Kato
2
田辺聖子氏の吉屋信子伝を再読していて気になる記述があったので、こちらも再読。田辺氏の指摘どおりなら相当ゆゆしき問題なんですが、読者には確かめるすべがないんですよね…2014/12/01