新☆ハヤカワ・SF・シリーズ
第六ポンプ

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  • サイズ 新書判/ページ数 392p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784153350021
  • NDC分類 933
  • Cコード C0297

内容説明

化学物質の摂取過剰のため、出生率の低下と痴呆化が進行したニューヨーク。市の下水ポンプ施設の職員である主人公の視点から、あり得べき近未来社会を描いたローカス賞受賞の表題作。石油資源が枯渇し、穀物と筋肉がエネルギー源となっているアメリカを舞台に、『ねじまき少女』と同設定で描くスタージョン記念賞受賞作「カロリーマン」。身体を楽器のフルートのように改変された二人の少女を描く「フルーテッド・ガールズ」ほか、本邦初訳5篇を含む全10篇を収録。ヒューゴー賞/ネビュラ賞/ローカス受賞の『ねじまき少女』で一躍SF界の寵児となった著者の第一短篇集。

著者等紹介

バチガルピ,パオロ[バチガルピ,パオロ][Bacigalupi,Paolo]
1972年、米国コロラド州生まれ。オバーリン大学で東アジア学を専攻。在学中に中国に渡航し、その後数年間を暮らした。2009年刊行の第一長篇『ねじまき少女』は、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞など、主要SF賞を独占するという快挙を成し遂げた。2010年代のSF界でもっとも活躍が期待される作家の一人である

中原尚哉[ナカハラナオヤ]
1964年生、東京都立大学人文学部英米文学科卒。英米文学翻訳家

金子浩[カネコヒロシ]
1958年生、早稲田大学政治経済学部中退。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

122
絶望的なディストピアの世界を迫真の筆致で描く傑作短編集。こういう本に出会えるので、SFを読むのをやめられないのだ。どの作品にも共通するのは、確固とした想像力だ。ここに描かれている世界には絶対に住みたくないが、実現しそうな世界が多い。例えば、「砂と灰の人々」では、食料の不足が深刻になり、体を変容させた人々が出てくる。彼らはお腹の中にゾウムシを飼い、砂を食料にして生きているのだ。荒唐無稽に思えるのが、この世界は貧富の差が極端に広がり、餓死する人が出ている現在と地続きだと言ってよい。→2017/02/18

藤月はな(灯れ松明の火)

47
『ねじまき少女』は好みに合わなかったけど、この短編集は大当たりでした。記憶媒体に保管されたダライ・ラマの魂というぶっ飛びの奇想で贈るスパイアクション&成長物語な「ポケットのダルマ」は利権に貪ろうとする大人共よりワン・ジュンの一本気が救いでした。「フルーティッド・ガール」はfrites/flutedを掛けているのかな?「パシャ」はグローバル化の少数切り捨て合理主義を描いていて凍りつきます。そして「砂と灰の人々」は『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』みたい。「ポップ隊」と表題作は現実と重なる部分もあって怖い。2015/10/17

GaGa

42
表題作は筒井康隆作品かと思った(笑)シュールな傑作。「ねじまき少女」の前身といえる「カロリーマン」「イエローカードマン」も出来がよく、長編以上の完成度がある。「砂と灰の人々」はSFとしての完成度が高い一編。「ポップ隊」はありふれた人口増加テーマにこのような切り口がまだあったのかと驚かされた。個人的に好きな作品は「やわらかく」ギャビィーみたいな人いるわな(苦笑)2013/07/06

キキハル

41
粒ぞろいで質の良い短編集。これほど多彩な短編を書ける作家だとは少々意外だった。どれもラストの描き方がいい。押し付けず断ち切らず、想像の余地を残しているのがさすが。すべて組織の末端や、社会の底辺で生きる人たちが主人公。自らの境遇と折り合いをつけつつ、生き続ける様がたくましい。「ポケットの中の法」の少年の機転と希望。「フルーテッドガールズ」で生きた楽器にされた少女たちの悲哀と官能。「パショ」の物寂しさ。そして表題作で展開される未来社会への批判。堕落しきった世界はバラ色とは程遠く思えるが、充実の読み応えだった。2012/03/07

亮人

36
『ねじまき少女』も上巻だけ読んで放置してるんだが、新☆銀背が文庫落ちすると聞いてこっちを慌てふためいて読了。SFMのインタビュウでも「読者に嫌われてでもディストピアを書き続けて人類社会に警鐘を鳴らす」って言ってたが、その言のとおりの未来世界。息が詰まるディストピア世界の描写は濃密。でも世界を書くだけで、ストーリイがないのが不満。絶望的未来で進退窮まる状況をどうにかするアイデアを考えるのがSFでしょ。熱はすごいのに、そのへんの個人的SF観の違いがフィットしなくて残念だった。2013/11/26

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