内容説明
かつて天才ハッカーと謳われた“プロメテ”こと能條良明。今は平凡な一プログラマーとして生きる彼に、謎の男からICチップ解析の依頼が舞い込んだ。一見簡単に思えたその仕事が、彼を米国を脅かすサイバーテロ組織との闘いに導いてゆく。パスポート偽造、ソーシャル・ハッキング、スーパーコンピュータでのチェス対決、政府機関へのハッキング等、半神の名を持つ男が強大な敵に次々と挑む連作ミステリ。
著者等紹介
福田和代[フクダカズヨ]
1967年神戸市生まれ。神戸大学工学部卒。2007年、陸の孤島と化した関西国際空港を舞台にハイジャック犯と警察との攻防を描いた『ヴィズ・ゼロ』(青心社刊)で力強いデビューを飾る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミーコ
47
難しい専門的な所は理解出来ない所も有りましたが、面白かったです。私的にはプロメテ"よりもパンドラ"の方が好きです。引き込まれましたが『サイバー・コマンドー』の方がハラハラドキドキするので惹かれます。 その後…も、気になる終わり方でした。2015/08/25
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
44
能條は学生時代ハッカーとして名を馳せていたが、犯罪に手を染め刑に処せられた。服役後の今はプログラマーとして穏やかに暮らしていたが、ある日昔の彼の事を知る謎の男が接触してきて・・。著者自身のシステム・エンジニアとしての経験を最大限に活かしたお話でした。誰がクラッカーの“サイオウ”なのかつきとめていく過程も面白かったし、主人公を始めとする登場人物が魅力的でした。展開が早く最後までグイグイ読めたのも良かったです。またこういった話を読みたいです。★★★★2012/05/24
RIN
31
米国の情報管理社会を巡るFBIとサイバーテロリストの攻防に元天才ハッカーの日本人が巻き込まれて・・・。テンポよく話が進み読みやすい。同じテーマでこれが日本舞台だとかな~り冴えない話になりそうなところをロスが舞台に設定されていることで痛快アクションっぽくなっている。テーマは「正義は人の数ほどある」ということかな。テロリストもメディアもNPOも自分の信念=正義と確信しているだろうし頷ける事項もあるのだが、手段が目的を凌駕してしまうことが支持を広げられない理由なのだろう。ライトに楽しめるエンタテイメント。2014/03/21
nyanco
27
プロメテ、パンドラ、村岡、シャオトン…、登場人物のキャラクターがとても良い。特にパンドラのキャラが好き。パンドラが逮捕されたプロメテを見捨てなかった理由が語られる辺りから、ラストのシーンがとても良い。いくつか疑問に感じる部分もあったが、エンターテイメント性があり、『オーディンの鴉』より楽しく読めた。しかし、狙っているものも面白いのだが、今ひとつ、物足りない感じがあるのが残念。データー管理の危うさや、人の作った砦は必ず人によって壊されるものなのだと言うことへの警鐘を『オーディンの鴉』で描かれたのでしょうか。2010/05/29
kosmos
22
アメリカ留学中にFBIのシステムに侵入し逮捕され、3年間服役し、その後日本で冴えない毎日を送っていた元天才ハッカーの主人公。ある依頼をきっかけに再びアメリカに渡りFBIに協力することに。ハッカーが主人公の小説は読みにくいものもあるけど、これはとっつきやすくて面白かった。2018/04/21