内容説明
ときは1940年、ヨーロッパ。さきの世界大戦ではドイツが勝利し、フランスはドイツと平和協調路線をとった。これに対し、ファシズムと軍事拡張路線を推進するイギリスは、国際社会で孤立していた。国内では、好戦的なムードと力のある指導者への崇拝の気運が満ちている一方、政府の政策によってユダヤ人や同性愛者は屈辱的な差別を受けていた。病に冒された老境の歴史学者グリフは、この国のカリスマ的指導者ジョン・アーサーの旧知として恩恵に与っていたが、こうした現状に疑問を抱いてもいた。なぜなら、全体主義で牽引力を発揮するジョン・アーサーこそ、かつて若く輝ける日々に彼が愛した男であったからだ―架空の時代を背景に、繰り返される歴史上の愚行と個人の無力を鮮やかに見せる表題作(世界幻想文学大賞・サイドワイズ賞受賞)など、SF的発想に端を発し、さまざまな“変化”に直面した人間の心の機微を、詩情に満ちた物語に結実させた選りすぐりの傑作七篇を収録する、日本オリジナル短篇集。
著者等紹介
マクラウド,イアン・R.[マクラウド,イアンR.][MacLeod,Ian R.]
1956年8月6日、イギリスはウェストミッドランド州ソリハルに生まれる。バーミンガム総合技術大学で法律の学位をとり、卒業後は国家公務員として30代まで勤務するかたわら作家を目指す。1989年、『ウィアード・テイルズ』誌にデビュー短篇“1/72nd Scale”が採用され、ネビュラ賞候補にもなった。1990年、妻の妊娠を機に専業作家となり、以後多数の作品が有名SF誌やアンソロジーThe Year’s Best SFなどに掲載・収録されている。1999年に「夏の涯ての島」で世界幻想文学大賞、および歴史改変小説に与えられるサイドワイズ賞を受賞。翌年には「チョップ・ガール」で世界幻想文学大賞、アシモフ誌読者賞を受賞した。また、2002年には「息吹き苔」でもアシモフ誌読者賞を獲得。このほか、作品は英国SF協会賞、ティプトリー賞などにノミネートされ、短篇の名手としての評価を確たるものにしている。長篇ではThe Great Wheelがローカス賞処女長篇部門を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MICK KICHI
藤月はな(灯れ松明の火)
miyu
キキハル
臓物ちゃん