内容説明
アフリカの草原に生まれた弱々しいヒトの祖先が、気候変動や捕食動物と闘い、生き残りをかけて遺伝子に取りこんできた6つのアイテムは、私たち現代人にとっても捨て去ることのできない必須要素となった。最新の遺伝学と脳科学を駆使して描きあげる数百万年におよぶ波乱万丈の人類進化物語。
目次
第1部 足の親指
第2部 手の親指
第3部 のど
第4部 笑い
第5部 涙
第6部 キス
著者等紹介
ウォルター,チップ[ウォルター,チップ][Walter,Chip]
『サイエンティフィック・アメリカン』誌や『ディスカバー』誌に記事を執筆するサイエンス・ジャーナリスト。ドキュメンタリー・フィルムの制作もしており、CNNではサンフランシスコ支局長を務めた。現在は、ピッツバーグ大学メディカル・センターで戦略的コミュニケーション部長を務めながら、カーネギー・メロン大学でサイエンス・ライティングを教えている。二人の娘モリーとハナとともにペンシルヴァニア州ピッツバーグ在住
梶山あゆみ[カジヤマアユミ]
翻訳家。東京都立大学人文学部英文科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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123456789wanko
9
サブタイトルの、つま先・親指・のど・笑い・涙・キスの6つこそが、我々と他の生物とを分ける本質とそのきっかけであると説く。しっかりとしたつま先で二足歩行し、その結果手が自由になり親指が他の指と対向し自由にもの作りが出来るようになる。同時に喉が垂直になることで喉仏が発達し、言葉でコミュニケーション出来るようになる。といった具合になかなか納得させられる良書でした。読むと人類進化の新たな見方を得られます。2014/05/10
ZEPPELIN
8
人間の進化の歴史。脳が巨大化したから二足歩行を始めた、というのは間違いで、見つかった化石から判断するに、その順番は逆だったとのこと。頭の中の情報が色々と更新されるし、手と足の親指の形に感謝したくなってくる。遠い未来に、ホモ・サピエンスが最新ではない時代も来るんだろうか。また、人間の子供があまりにも未熟な状態で生まれてくるのも、脳の可塑性を守るためとのこと。本当に上手く出来ている。後半になるほど感動が薄れてくるのは残念だけれども、科学の分野の本としてはかなり読みやすい2015/06/14
GASHOW
7
つま先、親指、のど、笑い、涙、キス。 つま先と親指までは、近縁のネアンデルタール人も進化していた。空気を吸って音を吐く喉の進化がホモ・サピエンスとの違いのようだ。知能は、ネアンデルタール人のほうが優れていて、体格も良く寒さにも強かった。言葉を持たなかったためにネットワークがなかったため氷河期に個数減少で絶滅したようだ。わらいや涙やキスは社会の発展に役立った。2018/05/31
コービー
5
人の進化について解説した本です。涙を出すのにはエネルギーを使うし、敵を退散させるのには何の役にも立たない。それでも、人のコミュニティを発展させる上で大切だったのかもしれません。気持ちを落ち着かせたり目の表面を潤わせたり。 本書では涙が生まれた説として「火葬したときに目に灰が入り、目が痛くなったことで涙が流れた」という面白い話も書いてあります。 それにしても、目がむき出しているせいでゴミやシャンプーが目に入ったりと、まだまだ不安なところがあるけれど、これ以上はもう進化しないのでしょうか?2020/09/13
桔梗屋
4
直立歩行と、道具や言語の使用が、人類をここまで進歩させた、ってのは、まあ類書でもしばしば言及されてて、よく聞く話ではあるけれども。それに加えて、笑いや涙、キスという、人類しか行わない行動も、偶然の機能進化からスタートして、現在の人類を形作っている、という著者の主張は、なるほど確かになー、と大いに納得した。行動形態の進化は、化石のように形に残るわけじゃ無いから、物証で追うのはほぼ不可能だけど、理詰めである程度、その進化の過程を推理することはできるしね。「この流れは確かに妥当だわー」と思わせた時点で十分凄い。2019/01/27