海外SFノヴェルズ
遺す言葉、その他の短篇

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  • サイズ B6判/ページ数 334p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784152087607
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

作家だった父が亡くなった。遺品整理のため訪れた部屋では、掛け時計や茶漉し、冷蔵庫の扉など、あらゆるものにメモが貼られていた。そして膨大な蔵書の数々にも、教訓めいた警句や皮肉、回想などが書きこまれている。いったい父は何を意図したのか、そして彼が遺したものはなんなのか?時間の不可逆性について考えさせるネビュラ賞受賞の表題作はじめ、会社での成功のため昆虫の遺伝子を組み込んだビジネスウーマンを描く「中間管理職への出世戦略」、現実とネットワークが半同一化した社会を女の子が冒険する「コンピュータ・フレンドリー」(いずれもヒューゴー賞ノミネート)など、SFにとどまらずファンタジイ、ホラー、政治小説など多彩なジャンルの12の物語を収録し、著者ならではの奇妙でどこか優しく、周縁的な視点を示した短篇集。

著者等紹介

ガン,アイリーン[ガン,アイリーン][Gunn,Eileen]
1945年、マサチューセッツ州生まれ。エマニュエル・カレッジで歴史を学び、卒業後はコピーライターとして就職。12歳のころからSFを愛しはじめ、1976年からクラリオン・ワークショップに参加、広告業界に身を置くかたわら作品を書き続けた。80年代にはマイクロソフトで広告担当として活躍するが、やがて執筆のため退職。1988年にクラリオン・ウェスト・ワークショップの理事となり、2001年にはオンライン・マガジン《Infinite Matrix》の編集を開始(現在は休刊)。現在はシアトル在住

幹遙子[ミキヨウコ]
高知大学人文学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

紅はこべ

98
この作家、物理やコンピューターの専門家かと思ったら、大学の専攻は英米文学だったというのが意外。表題作が一番残った。私は本に書き込みする習性はないけど。「読書はあまりにたくさんの時間を取るし、そのあいだずっとほかの誰かの頭の中にはいりこんで過ごすことになる」それが読書の喜びじゃないの?「春の悪夢」は怖かった。アシモフとハインラインの関係が意外。「スロポ日和」は、ヨーロッパによくある人間が悪魔を出し抜く昔話のSFのエイリアン版みたい。2018/10/30

藤月はな(灯れ松明の火)

65
「中間管理職への出世戦略」は「な~んだ、楽天的なカフカの『変身』じゃん」と思っていたらまさかの結末だけど納得。確かに女は誰しも蟷螂の部分があるもんね・・・。ジェシカさん、ナイス!「残す言葉」は思念の具現化としてもパラドックスは大丈夫なの?「イデオロギー・・・」は目から鱗。確かに何かを選択する時、私達は思想や政治性に支配されているわ・・・。「ニルヴァーナ・ハイ」は鼻持ちならない高校生のスクール・カーストを逆転させてギャフンと言わせた化学教師に拍手を送っていたら後書きにゾッとしたという。「春の悪夢」は怖いよ。2016/08/30

りー

26
あなたに私の言いたいことが読み解けるのかしら?とでも言うかの如く、挑戦的に語りかけてくるような雰囲気を纏った、こちらの想像力のスキマを突いてくる奇想短編集。テラフォーマーズみたいな話があったり、R.A.ラファティを彷彿とさせるような人を食った話があったりと作風は多彩だけれど、どんな馬鹿げた話を書いていても目が笑っていないような剣呑なオーラが一冊を通して滲み出ている気がする。表題作の遺す言葉なんかは大好きなのだけれど、どうも物語ではなくアイリーン・ガンに苦手意識を覚えてしまうのは何故だろう。面白いんだけど。2016/06/07

syachi

6
なんとなく手にとったが予想外に面白い。いうなればSF短編集なんだけどもホラー要素あったりなんやりで。他の著書全部追ってもいいなと思ったけど後書きで初っ端遅筆ってあったけど読書メーターにこれしかないという悲しい現実。2015/05/13

郵便屋

5
サイバーパンクに特徴的な倫理観の無視と、奇想と言える世界観の組み合わせが良かった。「遺す言葉」は他の話とは一風変わった雰囲気だけど、味わい深い。2014/04/20

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