内容説明
父親を亡くしたばかりのアンは、ロンドンの地下鉄ホームで妙な事件を目撃した。外国人の男が何かに驚いて転落死し、それを見取った怪しい医者が暗号らしきものの書かれた紙片を落としていったのだ。冒険心に富むアンは、事件の謎を解くべく一人、鍵を握る南アフリカ行きの客船に飛び乗るが…胸躍る冒険ミステリ。
著者等紹介
クリスティー,アガサ[クリスティー,アガサ][Christie,Agatha]
1890年、保養地として有名なイギリスのデヴォン州トーキーに生まれる。中産階級の家庭に育つが、のちに一家の経済状況は悪化してしまい、やがてお金のかからない読書に熱中するようになる。特にコナン・ドイルのシャーロック・ホームズものを読んでミステリに夢中になる。1914年に24歳でイギリス航空隊のアーチボルド・クリスティーと結婚し、1920年には長篇『スタイルズ荘の怪事件』で作家デビュー。1926年には謎の失踪を遂げる。様々な臆測が飛び交うが、10日後に発見された。1928年にアーチボルドと離婚し、1930年に考古学者のマックス・マローワンに出会い、嵐のようなロマンスののち結婚した。1976年に亡くなるまで、長篇、短篇、戯曲など、その作品群は100以上にのぼる。現在も全世界の読者に愛読されており、その功績をたたえて大英帝国勲章が授与されている
中村能三[ナカムラヨシミ]
1903年生、英米文学翻訳家
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感想・レビュー
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ゆのん
68
再読。主人公のアンがとても好きなキャラクター。向こう見ずな所や前向きな所、そして何よりも好奇心が旺盛。もちろん殺人は起こるがミステリーというよりアドベンチャーの要素が色濃い感じがした。ちょっとしたロマンスもあってこれはこれでおもしろかった。2018/07/26
geshi
40
ストーリーだけ見ればベタベタなハーレクイン小説風の冒険ロマンス。だけどキュートな主人公アンに巻き込まれ一緒に暴走する楽しさで読み通せてしまう力強さがある。ご都合主義全開なんだけど「私がそう思うんだからそれでいい!」というアンの無鉄砲で納得させられてしまう。厄介老人だけど憎めないサー・ユースタス、冒険を求めるブレア夫人、陰鬱な顔をした有能秘書パジェットなどキャラクターの魅力が光る。後作に使われるトリックがプロトタイプみたいな残念な使われ方しているなぁ。2020/09/20
みっぴー
38
父の遺産全てを使って豪華客船で南アフリカへ。鉄道の人身事故現場で拾った一枚の紙切れがアンの運命を変えます。船の中では海に落とされそうになり、そして南アに着いてからは崖から突き落とされ、絶えず命を狙われ続けるアンですが、困難にぶち当たるたび、彼女の冒険家魂は激しく燃え上がります。クリスティって、中東が舞台の話が多いので、今回はすごく新鮮でした。南アーダイヤモンド、セシル・ローズ、すごく暑そう…くらいしか思い浮かばないのですが、地理に詳しかったらきっともっと楽しめたと思います^^2015/11/26
はな
30
アガサ・クリスティの本の中ではトミー&タペンスを思い出す。ミステリーのトリックより冒険活劇に目がいってしまう。元気で明るい漫画のようなお話でした!2023/06/08
トロピカ
28
高校時代に読んだものの内容をすっかり忘れていたので再読。こんな話だったっけ。ポアロもマープルも出てこない素人探偵(?)の女の子の冒険もの。そんな大事なもの落とすかなフツーとか、そんな都合よくいくかなとかツッコミどころあるにしろ純粋に楽しめた。黒幕を予想できた人いたらすごいなと思う。自分は全くわからなかった。全体的にシンデレラストーリーっぽくもあり、女の子が元気に活躍する話はやっぱり微笑ましい。最後に彼女は彼を選ぶけれど自分だったら違う選択してただろうなと勝手な想像してみたり。魅力的な登場人物が多かった。2021/08/16