感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
としP
22
「それ三界はただ心一つなり。心、もしやすからずは、象馬七珍もよしなく、宮殿楼閣ものぞみなし。今寂しきすまひ、一間の庵、みづからこれを愛す。」現世、意識の世界、無意識の世界(三界)、そこで認識されるのは心のあり様。故に幸福感とは、心が安らかであることによって得られる。心にストレスが溜まっている状態は、どんなに財産があっても立派な家に住んでいても不幸である。鴨長明にとって「家」とは、経済的豊かさや社会的地位、権勢の象徴だという。それにしがみつくことに何の意味があるのか?現代の我々に問うている気がする。2016/09/29
凛
8
例えにTwitterや断捨離など分かりやすい単語が出てきて読みやすい。方丈記単体では分からない歴史的背景を書いていて良かったけど、文学的には以前読んだ「すらすら読める方丈記 (講談社文庫)」だけで十分かな。2015/01/11
やす
5
ゆく川の流れは絶えずしてしかも元の水に非ず。よどみに浮かぶうたかたはかつ消えかつ結びて久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人と住処とまたかくのごとし。天変地異のルポと己の不運のためのニート生活。やっと得た職も投げ出して3畳ひと間のお気楽生活。実に先駆的な800年前のスナフキン。2013/06/03
こずえ
4
この番組、テーマ本そのものの力で読みたくなる場合と、先生の視点で読みたくなる場合とあるんだけど、今回後者。源氏物語も先生の視点がちょっと面白かった。方丈記ってすごく共感できるエッセイだったのね!かなり読みたくなりました。2012/11/01
ぺんちゃん
3
打たれ弱い人だ、でも人間臭くて親しみやすい。鴨長明に対してこう思った。、これは鴨長明の前向きな負け組の暮らし方についての随筆だと思う。長明が望んだ名声、地位は手に入らなかったが、何も持たない暮らしこそが心を軽くする、私は他人に負けてなんかいない、そんな長明の心の声が聞こえてくる。でも、スローライフに傾倒する自分は本当に執着を捨てられたのかわからないという彼の迷いも面白い。私も自慢話を聞かされた後、私は今の暮らしに満足してるって自分に言い聞かせる時があるが、少し惨めな気持ちになる。長明と似ているのかな。2016/03/26