NHKブックス
人類は「宗教」に勝てるか―一神教文明の終焉

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  • サイズ B6判/ページ数 262p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140910856
  • NDC分類 160.4
  • Cコード C1314

内容説明

現在もテロや戦争で多くの人命が奪われている。子や妻、母といった愛する人を喪う哀しみの涙が、世界の至るところで流されている。メシアは汝の隣人を愛せよといったのに、なぜ暴力はなくならないのか、この世に神はいないのだろうか…。エルサレム、アメリカなど世界をめぐり、「宗教」が験される現場から思索し、人類普遍の問いに、比較宗教学の長年の研究成果から挑む。キリスト教、イスラム教といった一神教はいうまでもなく、アジア的な多神教からさえも袂を分かち、“無神教”という新たな宗教の到来を説く衝撃の書。

目次

第1章 エルサレムは「神の死に場所」か
第2章 世界最強の宗教は「アメリカ教」である
第3章 多神教的コスモロジーの復活
第4章 無神教的コスモロジーの時代へ
第5章 “愛”を妨げているの誰なのか
第6章 ヒロシマはキリストである

著者等紹介

町田宗鳳[マチダソウホウ]
1950年京都府に生まれる。14歳で出家し、以来20年間、京都の臨済宗大徳寺で修行。1984年に寺を離れ渡米。ハーバード大学神学部で神学修士号およびペンシルヴァニア大学東洋学部で博士号を得る。プリンストン大学東洋学部助教授、国立シンガポール大学日本研究学科准教授、東京外国語大学教授を経て、現在は広島大学大学院総合科学研究科教授、オスロ国際平和研究所客員研究員(ノルウェー)、国際教養大学客員教授、日本宗教学会評議員。専攻は比較宗教学、比較文明論、生命倫理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ハイランド

65
このところずっと宗教の功罪について考えていました。本を読んで感じた宗教の問題の根本は、傲慢と不寛容。青年期に僧侶であった筆者は、一神教の罪と、返す刀で現在の仏教の傲慢を批判する。前半の切れ味に比して中盤の神秘主義への言及はやや散漫な印象を受けるが、現代の宗教を超える希望の存在としてマザーテレサ、ジョンレノン、そしてムハマドユヌスを挙げているのは納得。更に今ならホセムヒカが加わるだろうか。神は壮大な伽藍にいるのではなく、一人一人の心にいる。今世界が抱える問題を超えることができるかは私達の行動にかかっている。2016/04/12

ジョニジョニ

8
わざわざ出かけていって「敵国人を殺してこい」だなんて、命令する方も、実行する人も、正気じゃない。それを正当化するのは、信奉する宗教が後ろ盾する、正義はこちらにある!という発想なんだろう。世界中にはいろんな宗教があって、どれもこれも面白く思います。比較宗教学者が書いているだけあって、扱う範囲も広く、僕の知識が追いつかないんですけど、信仰心というのは個人的なものであるべきだと思っていたところに、著者の薦める祈り、無神教は、近しい感じがしました。2022/04/17

おっとっと星

4
NHKがこんなバカっぽい本を?と思って手にしてみたら、意外に面白かった。著者の求道心はすごいと思う。人によっては無批判に「一神教」を敵視する読者も出てくるのではと懸念されるけど、著者の言いたいことは分かる。人は宗教を理由に色々な惨事を繰り返してきた。でも思うに、著者は本にもあった十牛図のような、自らをも乗り越える進歩的宗教である無神教を説いているわけだが、それなら尚のこと宗教は要るだろう。「序破離」の、破るものがなくては離れることもできないのだから。それに、大衆はなかなか彼の境地にまで達せないのでは。2010/08/10

とんび

4
相当自分と考えが近い。言いたいことを文書化してくれてる感じ。簡単に言えば宗教は松葉杖、あるいは多段式ロケットの下段、そろそろ捨てて次へ行っていいはず、ちゅーこと。2009/03/10

バーベナ

2
どうして、同じ聖地をもつ三大宗教が仲良くなれないのか、本願寺も東と西があるのは何故なのか。無知なだけに、とんでもない疑問がいっぱいあるのだけれど、いままでの疑問が氷解していく。なにかひとつを信じてしまえば、安らかなのだろうれど、やはりそれは違う。信仰が利用されるのは、これほど悲しい。迷いながら考えながら、少しでも明るく暮らすことを模索していこうと思った。危なっかしいし、遠回りだけれど。2023/02/24

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