内容説明
学ぶ者に年齢はない、学ぶことに終わりはない。70を過ぎて栄光を得た筆者が綴る光と影のドキュメント。
目次
異国の大学で
ラシーヌの影を求めて
人それぞれに―異国でのふれあい
パリの街角で
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
奥澤啓
28
浜野トキはNHKを55歳で早期退職してフランス留学。70歳をこえてからラシーヌ研究で博士号を取得した。1952年東京大学仏文科卒業。1972年パリ第3大学修士課程終了。1986年パリ第4大学で文学博士号取得。ソルボンヌの博士課程登録は72歳。語学的困難の克服法。下宿に同宿する 老人たちの暮らしぶり。自由を確保するための老齢での一人暮らしは壮絶である。大切なのは自由!知的な友人との豊かな交流 。静かな情熱が伝わってくる。文章の端正さにうたれる。ただ、ただ、 感服する。著者唯一の本である。1991年刊。2014/12/14
サチ
0
フランス語にはまっていた時に借り読み。
しょうじ
0
著者は戦後NHKで英語の翻訳等で活躍され、働きながら大学(東大)でフランス文学を学び55歳の定年退職を機にフランスへ留学しソルボンヌ大学で学び始めるという生活記。留学は修士と博士課程のため。研究に打ち込みつつも若い学生や同じアパートの人々と親交を深め、発音やタイピングなど様々な助力を得て論文を仕上げてゆく。戦争を知る高齢の学生であるがゆえに見えるフランス人の個性や欧州人の過去の苦しみなどを観察し、フランス個人主義の様子なども垣間見える。そして頑張って成し遂げた者に対する周囲からの暖かい支援に心打たれる。2023/12/31