感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
9
近代哲学の中でも、なかなか類を見ないユニークな思想家です。同時代にはあまり評価されなかったのもわからなくない。分かりやすく言えばカント+ゲーテ、(特にゲーテは植物論)力動的に書き直されたカント哲学という感じですね。認識論、存在論、美学、宗教倫理と並びや体系もカントっぽさがあります。カントが踏み込まなかった物自体を具体的に、流れや衝動を持った意志ととらえ、物理法則や物とありとあらゆるものをその個体化による現れ、表象と捉えています。翻訳は読みやすく、体系的な哲学に挑みたい学生に勧めたいですね2011/08/02
レートー・タト
4
『意志と表象としての世界』の訳の前に西尾幹二の解説が置かれていますが、痛快なだけに、中公クラシックスではなくなってしまったのは大変残念なことです。なお、「意志」の語法については少し注意が必要です。カント哲学の「現象と物自体」とヴェーダーンタ哲学の「マーヤーの綾羅とブラフマン」とをそのまま「表象と意志」と括ってしまったことで、存在論であった「意志」が道徳宗教論としての「意志」となったりと混乱が生じています。最終的にこの混乱は「意志の肯定」と「意志の否定」のどっちつかずの態度に露呈しているでしょう。2012/10/29
かんちゃん
1
意志と表象としての世界。 第一巻 表象としての世界を理論的に考察する認識論。 第二巻 意志としての世界を理論的に考察する自然論。 第三巻 芸術哲学。 第四巻 実践哲学。 だそうである。中身はわからなかったが、第1版、第2版、第3版への序文は、ユーモアがあって面白かった。 本編もこのように書いてくれると助かるんだがなぁ😃2020/08/27