出版社内容情報
労働者階級に生まれ、旺盛な執筆活動をし続ける英国の思想家C・ウィルソンが書いた自伝。生い立ち、愛読書から女性のことまで真摯で赤裸々な告白で綴る。
内容説明
イギリスの評論家・小説家コリン・ウィルソンが、自らの思想形成の過程を描いた自叙伝。労働者階級の家に生まれ、アカデミックな教育を受けなかったその生い立ち、読書体験、交友、軍隊生活、生活の糧を得るための苦闘、そして自らの性体験など、包み隠さずさらけ出した、真摯な告白の書である。
目次
ねらいと主題
ディオゲネスの樽
刺戟
ニヒリズム
空軍時代とその後
パリ、ストラスブール、ロンドン(一九五〇~五一年)
結婚とロンドン生活
パリ、レスター、ロンドン再訪
ロンドン生活と『アウトサイダー』
成功の問題
嵐が過ぎて
再出発
セックス
アメリカ
洞察
著者等紹介
ウィルソン,コリン[ウィルソン,コリン][Wilson,Colin]
1931年、イギリス、レスター生まれの評論家、小説家。労働者階級の家に生まれ、アカデミックな教育は受けなかった。さまざまな職につきながら独学、作家の道を志す。1956年、『アウトサイダー』で衝撃的デビューを飾り、以後、思想家・小説家の評伝や、性的倒錯、動機なき殺人、神秘主義などの研究、小説の執筆を通して独自の人間観を展開している
飛田茂雄[トビタシゲオ]
1927年、東京生まれ。1957年、早稲田大学大学院博士課程修了。中央大学名誉教授。2002年、死去
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
8
生きることは、常に、ラジオが鳴りひびき、子供たちが泣きわめき、家が火事になっている最中に手紙を書きつづけようとするようなもの(24頁)。ともかく、静穏な環境で淑やかに生きられる人は少ないだろうな。著者への評価は割れるようだが、人生の意味は発見への巨大な意志力によって発見できる。つまり、想像力と自己分析(訳者あとがき 491頁)。自伝は自分史とどう違うのか。読者が想定されていることか。生き様への評価は誰にもできないが、内容はともかく、自分史の方は感想を送ってくれたのは友人だけだった。そんなもんだな。2013/04/01
白義
7
悪戯というか甘やかされた犯罪少年だった少年期から奔放極まりない性生活と労働忌避を経てのデビュー、成功の苦悩まで、コリン・ウィルソンが自らの生涯と思想形成を明らかにした傑作自伝。目を引くのは、グレアム・グリーンを二流と断じヘミングウェイすら自らと比べれば並だと断ずる彼の自惚れ以上の自己肯定感と、自らの成功と絶頂への確信に満ちた楽観主義だろう。その内側から湧く活力でニヒリズムを乗り越え、博覧強記の探求心から知性に重きを置く新実存主義を打ち立てたことがわかる2013/02/21